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運動方針案をもとに各級機関で検討・論議し、全国大会に結集しよう

「解放新聞」(2016.02.15-2751)

 第73回全国大会に向けた一般運動方針(第1次草案)が公表された。この第1次草案を各級機関で検討・論議し、大会にその意見を反映させ、この1年間の闘いの方向性をしっかり位置づけ、実践していけるものとしよう。
  「部落差別はもうなくなったのではないか」「部落解放運動はもう必要ではなくなったのではないか」などという声を巷間で聞く。それは事実なのか、本当なのか。
  否、そうではない。部落差別はいわば部落民が登場しない市民社会の場面でまん延しており、その一つの反映がネット上での差別煽動、差別情報である。部落解放運動をはじめ、反差別・平等な社会をめざすグループや個人、行政諸機関などで、さまざまなとりくみがおこなわれたにもかかわらず、なぜ、部落差別が公然と煽られるまでの事態が、いま、うみだされているのか。まずは、部落差別が現実に存在すること、しかも、さまざまな形での差別排外主義の高まりのなかで、強化されている事実があることを押さえておこう。
  だからこそ部落差別をなくすとりくみとしての運動が必要であり、その軸に部落民自身が解放をめざす組織として部落解放同盟が立つのは当然のことだ。運動のなかでは、部落差別が存在する社会・経済的諸関係の問題なども示され、とりくみがおこなわれる。その方向性を示すのが、部落解放同盟の運動方針である。

 第1次草案の国際情勢で示されているのは、世界を覆う「無差別テロ」や「社会の分断」(格差、差別、排外、疎外)という現実が、相互にリンクし、その根底に規制緩和をおこない、1%の人間だけが富む方策を練り、実行して儲ける、という新自由主義があること。世界の人びとが、そのなかで人間らしい生活や労働、文化を奪われている。しかも不況のなかで、難民が仕事を奪っている、外国人が伝統や文化を破壊しているなど、偏狭なナショナリズムにもとづく宣伝がくり返され、世界中に差別排外主義が徘徊し、右傾化が進行しているのである。
  国内情勢では、安倍政権の究極の目的が、戦後レジームの解体であり、憲法9条の改悪であることが示されている。破産したアベノミクスを化粧直しして、「新3本の矢」を新たに押し立て、あるいは憲法に「非常事態条項」の新設をなどと憲法改悪を正面に押し立てながら選挙戦に臨み、一挙に国会で憲法改悪発議に必要な3分の2の議席を手に入れようと、虎視眈眈とマスメディアを操作し、世論を操作しながら機会をうかがっているのが、今日の安倍政権である。選挙戦では、野党の分断を図るために「おおさか維新の会」にも憲法改悪で共闘をよびかけ、選挙時期も4月解散や7月衆参同時選挙がとりざたされるなど、ただただ3分の2の議席を手に入れるためだけの、大義なき選挙に打って出ようとしている。
  こうしたなかで、安倍政権が集団的自衛権の行使容認を閣議決定だけでおこない、それをもとに戦争法を制定したように、どのようなかたちで、具体的に戦後レジームの解体をめざしているのかが、第1次草案では示されている。
  選挙戦で勝利するために、組織の強化が必要だが、最重要でとりくむ課題を示すのが部落解放運動の基本方向だ。
  第1にあげているのは、差別と戦争に反対し、憲法改悪阻止、人権と平和、民主主義の確立に向け全力をあげて闘うことだ。「戦争は最大の差別であり、人権侵害である」。そのために、安倍政権打倒に向けた政治勢力の結集を図りながら、参議院選挙に全力をあげとりくむことが強調されている。

 こうした方向性を、地域での異体的実践をふまえ補強する意見や、具体的現実のなかからどうすべきかを示し、論議する意見が全国大会では必要になる。
  第73回全国大会で、こうした意見を集約し、論議していこう。また、当面する闘いの課題についても、具体的な提案をふくめて、活発な論議を期待したい。
  こうした諸点を各級機関で検討・論議しよう。そして全国大会へ持ち寄ろう。具体的な闘いの方向性をより豊富にし、これからの部落解放運動をきりひらき、戦争のないことはもちろん、人権を確立し、民主主義が深化される社会をめざし、そしてなによりも「よき日」を、日常的な苦闘をくり返すなかで、わたしたち自身の手で実現しよう。


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