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NEWS & 主張

人格的自立権など侵害〜全体みればヘイトを助長と
ヘイトハラスメント裁判第7回口頭弁論

「解放新聞」(2017.07.17-2819)

 【大阪】 業務と関係なくヘイトスピーチに接する職場環境で精神的苦痛を受けたと、在日韓国人女性パート社員が、府内大手住宅メーカーと同社会長を訴えた損害賠償請求訴訟(前回は2805号既報)の第7回口頭弁論が6月29日、堺市・大阪地裁堺支部であった。原告側は明確なヘイトスピーチの例なども示し、従来の主張を整理した第11準備書面を提出。原告側は今回「会長が線や丸印を付し、就業時間内に業務上資料と同様に配付する歴史や政治に関する資料に、感想を書くよう求められ、教科書展示会にも動員される環境で、社員自身がヘイトに賛同する感想文を出す。職場という閉鎖空間での同調圧力、同僚からのヘイトなどで、思想信条が脅かされ、自由な人間関係を形成する権利も侵害される」と主張した。次回は9月28日午後2時30分から。原告側は提訴後の状況を明らかにし、被告側は反論を出す。

支える会による学習&交流集会のよびかけも

 90人が参加した報告集会では、裁判前の堺東駅前での街宣活動、公平な裁判を求める署名1万6998筆の大阪地裁堺支部への提出が報告された。支援する会の寺木伸明・共同代表も「被告会社側の傍聴の動き、原告側の署名や街宣活動に法的措置をとる用意があるとの恫喝は、被告側の焦りの表れ。負けずに頑張ろう」とよびかけた。

 法廷で意見陳述した清水亮宏・弁護士が、被告会社の違法な資料配付が原告の権利を侵害したとの主張を説明。会社は①人種差別・民族差別的言動にさらされない権利②思想信条をふくむ人格的自立権③自由な人間関係を形成する権利を、ヘイトスピーチも一部ふくむ、全体として人種差別・民族差別を助長する政治的資料の配付で侵害。ヘイトスピーチを、特定の民族等にたいする▽排斥▽危害予告▽誹謗中傷、人種差別・民族差別を助長するものを、国民性・民族性の非難▽歴史修正主義▽偏見にもとづくデマ▽日本人の優越性の宣伝、に整理。

 「誰が提訴したか分かるだろう。決意しないと私の側に立てないが、この状態をよくないと思う人はいると思う」とのべた原告を、6月19日に反ヘイト裁判で勝った李信恵さんが「勝ちを届けにきた」と激励。教科書問題にとりくむ相可文代さんは「日本会議が育鵬社から出せなかった小学校の道徳教科書を、教育出版から出させた。教育出版を採択させないよう教科書展示会で意見を」と訴えた。

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