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NEWS & 主張

「推進法」から1年~部落の農業の実態ふまえて
農水省交渉

「解放新聞」(2017.11.27-2836)

 農水省交渉を10月30日、省内でおこない、中央農林漁業運動部の池田部長ほか10府県連から15人が参加。農水省からは、経営局就農・女性課経営体育成支援室の武藤誠・課長補佐ほか24人が出席した。池田部長は「部落差別解消推進法ができてまもなく1年。法律の趣旨をふまえると、やはり教育・啓発をすすめなければならない。部落の厳しい状況をふまえ、相談活動や、部落の農業の実態把握など、これから力を入れていただきたい」とあいさつした。

 要求項目は①「部落差別解消推進法」関連②18年度予算概算要求について③TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)について④認定農業者制度について⑤農機具共同利用について⑥ハウス施設について⑦各地の要望。省から一括回答を受け、意見交換した。

 ①では、人権啓発事業として、農林漁業団体職員など対象の研修開催など、普及啓発に必要な経費を支援している、とし、全農(全国農業協同組合連合会)など全国組織にたいし、また、委託事業として都道府県に委託金を支出する地域にたいし、2本の軸でおこなっている。ひき続き、政策と、「部落差別解消推進法」の周知をする、と回答。

 ②では、経営体育成支援事業に49億円、鳥獣被害防止総合対策交付金に150億円の拡充要求、と回答。

 ③では、同盟から、TPPや日米・FTA(自由貿易協定)、日EU・EPA(経済連携協定)などが、部落とかかわりの深い畜産・食肉産業へあたえる影響に懸念を示し、また、国内の畜産・食肉産業や果樹・野菜産業を守る対策について見解を求めた。

 農水省は、米国抜きでのTPPに関しては、実現をふくめて今後の交渉にゆだねられている(10月30日時点)。日米・FTAの詳細も、米国との関係もあるのでコメントは差し控えるとしたが、15年10月のTPP大筋合意を受け、これまでTPP関連対策大綱にもとづく対策を実施してきた。日EU・EPAやTPP早期発効に向けたとりくみをふまえ、TPP関連対策大綱を秋を目途に改定をすすめている、と説明した。

 同盟からは、大枠での経営基盤強化やブランド化といった国策は理解できるが、部落の農業はほとんどが中山間地域の小規模零細農家で規模拡大が困難、対応できないという課題がある。国策からはずれる状況が加速される。TPPがさまざまな意図から問題提起されているのは、農業がたんなる生産手段や職業ではなく地域社会そのものだからで、農業を守る・地域を守るということとリンクさせたとりくみが必要になる。そのことと強化対策などを両輪でやらなくては、日本の、とくに小規模零細農家が多い部落の農業は守れない、その現状を理解、把握してほしい、と要請した。

 農水省からは、要望として受けとり、どういう事業が活用できるか調査すると回答があった。


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