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部落女性の力を総結集して、第63回全国女性集会を成功させよう

「解放新聞」(2018.04.23 -2856)

 これまで国の女性施策として、「男女雇用機会均等法」、「育児介護休業法」や「次世代育成支援対策推進法」が制定された。さらに、安倍政権は2013年にアベノミクスの経済成長戦略の柱として女性の活躍を位置づけ、「女性が輝く日本」の実現に向けた政策を打ち出し、「社会のあらゆる分野において、2020年までに指導的地位に女性が占める割合が少なくとも30%程度になるよう期待する」といった目標が示された。しかし、女性の国会議員や管理職に占める割合は依然として低く、賃金においても男女の格差は縮まっていないのが現状だ。世界経済フォーラムが発表したジェンダーギャップ指数(2017年)では日本は144か国中114位である。また、2016年4月から、女性の登用を促す新たな法律として「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」が施行された。しかし、この法律も、罰則規定がないため、どこまできちんと実施されるのか危惧されている。

 日本の人口は年ごとに減少し、少子高齢化社会を迎えている。男女がともに働き続け、仕事と生活の両立が可能となるような社会の実現をめざすためには、労働者が性別によって差別されることなく、労働時間の短縮や、同一労働同一賃金を実現させ、男性にも取得しやすい育児・介護休業をはじめ、各種休業制度の充実などが必要だ。また、職場の環境づくりや、家庭における家事や育児、地域での社会的活動などを男女がお互いに担い、そして何よりも社会全体の意識変革が必要なことはいうまでもない。

 今日の部落解放運動においては、部落差別をはじめ、女性差別、障害者差別、性的少数者(LGBTなど)への差別、複合差別にもしっかりと視点を置いたとりくみが必要だ。

 2016年2月にジュネーブで、国連・女性差別撤廃委員会による第7、8回の日本政府報告書審査がおこなわれ、今回の政府報告書審査に、中央女性運動部の代表を派遣し、女性差別撤廃委員に部落女性の実態を訴えた。その成果もあり、2003年、09年に出された勧告よりも、さらに踏み込み、マイノリティ女性についても多数の勧告が出された。なかでも2項目のフォローアップ勧告(日本政府が今年3月までに国連・女性差別撤廃委員会に報告しなければならない事項)が出されている。

 「アイヌ、部落、在日コリアンおよび移住女性などの民族的あるいはその他のマイノリティ女性に対する攻撃を含み、人種的優位や憎悪を唱える差別的なスピーチや宣伝を禁止して処罰する法律を制定すること」「独立した専門機関を介し、アイヌ、部落、在日コリアンの女性および移住女性への差別的なジェンダーの固定概念や偏見を撤廃するためにとった措置の効果を定期的にモニターして評価すること」の2項目である。

 2018年2月、部落解放同盟中央女性運動部、札幌アイヌ協会、アプロ・未来を創造する在日コリアン女性ネットワーク・反差別国際運動で構成するマイノリティ女性フォーラムでは、フォローアップ情報としてJNNC(日本女性差別撤廃条約NGOネットワーク)をとおして国連・女性差別撤廃委員会に、部落女性について、「部落差別解消推進法」は制定されたが、勧告にある差別禁止法ではない、鳥取ループ・示現舎によって「全国部落調査」復刻版をネット上で売ろうとした事件がおきている、などの情報を提供した。

 今後も、マイノリティ女性たちとの協働のとりくみや、政府にマイノリティ女性にたいする施策の充実と実態調査を要求するなど、粘り強く働きかけをしていかなければならない。

 男女平等は憲法にも定められている大切なことだが、現実には女性にたいする差別が厳然と存在している。男女平等の意識をつくるには、何がジェンダー(社会的文化的な性的役割・分業の固定化)なのかということに気づくことが大切だ。女性にたいする差別意識や日常生活、メディアのなかに存在するジェンダーなどに気づき、身近なことから制度や慣習について見直すことができるような「ジェンダーにとらわれない意識」を積極的に形成していくことが重要だ。また、セクシャルハラスメントやパワーハラスメントなどについても、しっかりとした相談窓口をはじめ実効ある対策が必要だ。

 組織内においても女性が力を発揮できる組織運営、運動になっているのか再点検する必要がある。2001年に「男女共同参画基本方針」を策定し、08年に「基本方針」の改訂をおこなった。また、第73回全国大会(2016年)において「男女平等社会実現基本方針」(第2次改訂版)が採択された。改訂では、12項目の具体的な目標を掲げ、10年ごとに見直しをおこない、中間年において検証をおこなうこととしている。現在、この第2次改訂版をもとに都府県連の女性部が中心になって学習をすすめている。都府県連・支部でも男女がともに学習を具体的にすすめ、各都府県連で「男女平等推進本部」を立ちあげていこう。

 いま、部落女性たちは、各自治体の男女共同参画審議会委員に任命、または公募しての委員となり、これまで女性政策にマイノリティ女性にかかわる政策がまったく入っていなかったことについてアンケート調査を通じて学び、マイノリティ女性の課題を自治体の政策に入れるよう積極的に発言している。このような実践が女性たちのエンパワメントにつながっている。

 このような変革の時代に敏感に対応する運動の展開と、女性部としての人材育成と組織強化に結びつけていこう。

 第63回全国女性集会が5月12、13日、和歌山市内で開催される。分科会では、部落解放・人権政策の確立に向けた闘い、2016年12月に施行された「部落差別解消推進法」を周知し、具体化する闘い、狭山再審闘争や、鳥取ループ・示現舎などの確信犯的な差別者にたいする差別糾弾闘争の強化、複合差別の視点をふくめた男女平等社会の実現、自立自闘に向けた闘いと人材育成をはじめとした女性部組織の拡大、「人権と福祉のまちづくり」の実現など、7つのテーマにわかれて運営する。分科会によっては、学習講演形式ですすめる場合もある。各分科会で女性部の活動の実践交流と論議を深め、活発な意見を出し合おう。

 女性をとりまく情況も大きく変化している。集会で学んだことをふまえ、部落解放運動だけではなく、さまざまな差別と闘う国内外の女性たちと反差別・反貧困のネットワ-クをつくることが求められている。すべての女性たちとの連帯をさらに強化し、人権と平和の確立、いのちと生活を守る協働のとりくみを地域ですすめよう。

 今日の政治状況のなかで、私たちはあらためて憲法の改悪に反対し、平和憲法を守り、差別と戦争に反対する闘いを強めることを確認しよう。そして、男女がともにジェンダーによって役割を強制されたり、生き方を制限されたりすることのない男女平等社会の実現に向けて、部落女性の力を総結集して、第63回全国女性集会を成功させよう。


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