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東日本大震災から8年、被災者支援をすすめ、
原発の再稼働に反対しよう

「解放新聞」(2019.02.25-2896)

 死者1万5896人、行方不明者2536人(昨年9月10日時点)という多くの犠牲者を出した東日本大震災から8年が経った。現在、被災地では復興公営住宅への入居や集団移転・宅地造成などがすすんでいるがいまも約5万4000人(復興庁調べ・昨年11月時点)が仮設住宅などで避難生活を続けている。長引く避難生活で疲弊した被災者が自死する事例もあとを絶たない。復興庁によると、一昨年9月末時点で、3647人(福島県2202人、宮城県926人、岩手県464人など)が震災関連死に認定されている。福島県内の震災関連死による死者数は地震や津波による直接死者数を上回っている。その大部分は、原発事故の避難の影響で体調が悪化するなどして死亡した「原発関連死」とみられている。

 政府は復興期間を来年末までと設定しているが、災害公営住宅入居者の4割は独居高齢者であり、約75%は月収8万円以下の低所得者だ。復興住宅の建設や巨大な防波堤などハード面の復旧はすすんだものの、三陸の基幹産業であった漁業、水産加工業も漁獲量が減り(岩手県)、仮設商店街の撤去がすすんで(宮城県)いる。そのなかで被災者医療介護費は早早と切り捨てられ、猶予期間が過ぎてはじまった貸付金返済ができない人が増え、公営住宅への移転で孤独が深まるなかで、追いつめられた人が自死するケースが増えている。9月には宮城県石巻市の仮設住宅で、公営住宅入居が決まった1人をふくむ2人がみずから命を絶った。安倍総理は「復興の〝総仕上げ〟の時期を迎えた」というが、健康で文化的な最低限度の生活やコミュニティの回復という生活にとって一番大事な復興が遅れている。10年で「復興・創生」とは、まったく現場を無視した発言だ。

 ところで、全電源を喪失して原子炉を冷却できなくなり、炉心溶融(メルトダウン)をおこした東電福島第1原子力発電所は、事故収束の見通しが立たないまま8年を迎え、大量の汚染水が海に垂れ流されている一方、周辺一帯の福島県住民の避難は長期化している。放射性物質をふくむ汚染水を貯める巨大なタンクはすでに約950基を数え、汚染水の貯蔵量は約110万トンにのぼり、現在も毎日、約100〜150トン増え続けている。3月に解体をはじめるという1、2号機原子炉建屋のそばの高さ120メートルの主排気筒の支柱に破断などが10か所見つかり倒壊の恐れも心配されている。

 一方、事故をおこした東電福島第1原発1〜4号機の廃炉費用は、政府推計で約8兆円にのぼることがわかった。これに放射性廃棄物の処分を加えると廃炉費用はもっと高くなるが、いったいこれを誰が負担するのだろうか。廃棄物の処分先も決まっておらず、巨額のコストとリスクがともなう原子力政策の行き詰まりが浮き彫りになっている。

 原子力規制委員会は昨年7月、運転開始から40年の日本原子力発電(原電)の東海第2原発(茨城県東海村)の運転期間最長20年延長を認可した。東海第2は、事故をおこした福島第1原発と同じ沸騰水型で、大震災では外部電源が喪失し、一部の非常用ディーゼル発電機が水没した被災原発である。「原子炉等規制法」では、原発の運転期間は40年と定められているが、それを反古にして再稼働を許した。こんな危険な「老廃原発」を再稼働させるとは、なんということだろうか。東海第2原発の30キロ圏には約96万人が住んでおり、万一事故がおきれば、未曾有の事態が発生する。これにたいして、茨城県内では複数の自治体の首長が再稼働への反対を表明しており、多くの議会で再稼働に反対する意見書などが可決されている。

 一方、日立製作所は1月に英国での原発建設計画凍結を正式に発表した。安倍政権が「成長戦略」の目玉としてすすめてきた「原発輸出」計画は、ベトナムやリトアニアでも撤回や凍結など計画の見直しがあいつぎ、今回の英国での計画凍結ではすべて頓挫した。そもそも福島原発の事故処理もできていない日本が、原発輸出を日本経済の成長の柱に据えようとしたこと自体が間違っている。原発事故後、福島県内の小児甲状腺がんは200人をこえているにもかかわらず、除染作業が終わったとして、10町村の広い範囲で避難指示区域を解除して支援を打ち切り、住民に帰還を強制している。

 ところで最近、東日本大震災に関連した巨大地震がおこる可能性があると警鐘が鳴らされている。2011年に動いたのは宮城から福島沖にかけての一部分だけで、境界線のまだ動いていない場所で巨大地震の危険があるという指摘だ。現にその兆候として、北海道では昨年9月に最大震度7を記録した胆振(いぶり)東部地震がおき、茨城や千葉でも毎月のようにマグニチュード(M)4程度の地震が頻発している。これくらいの地震規模ではガス抜きにはならず、“動き残り”が本格的に動くとM8以上の地震発生が想定されている。東日本大震災はまだ終わっていない。また、政府が30年以内に70〜80%の確率でおこると予想している南海トラフ地震の危険もすぐそこに迫っている。

 このような危険を棚上げにしたまま原発を再稼働させ、原発輸出を「成長戦略」にすること自体、福島原発事故の教訓に学ぼうとしない許しがたい姿勢である。安倍政権の原発政策は完全に破綻しており、脱原発、再生可能エネルギーの拡大という世界の流れに逆行している。部落解放同盟は政府の強制的な帰還政策に反対するとともに、原発の再稼働に反対しよう。また、政府にたいして東日本大震災の被災者の実態にあった支援策を継続するよう要請し、部落解放同盟としても高齢者や障害者など社会的弱者への支援活動を続けていこう。

 

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