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主張

 

人権・平和・民主主義の確立に向けた政治勢力を結集し、
参議院選挙に勝利しよう

「解放新聞」(2019.03.11-2898)

 3月2日未明、2019年度予算案の採決が衆議院本会議で強行され、賛成多数で可決された。

 厚労省による「毎月勤労統計」の調査方法の変更などの不正が明らかになり、予算策定の根拠が崩れている。不正統計の真相解明がなされないままの採決強行は許されない。予算案は、安倍政権の軍事最優先の姿勢を明確にしたもので、生活保護費の削減、医療制度の改悪など市民に犠牲を強いるものである。

 とくに、有償軍事援助(FMS)で米国の要求通りに高額な兵器を購入し、護衛艦である「いずも」を改修し、憲法違反の「攻撃型空母」とすることで、米軍の後方支援を可能にするなど、「戦争をする国」づくりをおしすすめている。さらに、この間、軍事費増大の口実としてきた「北朝鮮の脅威」が、南北首脳会談や米朝首脳会談の実現などによる朝鮮半島情勢の変化で通用しなくなると、中国や韓国との領土問題などでの対立を深めることで危機を自作自演している。また、自衛官募集についても、適齢者名簿提出の義務規定がないにもかかわらず「6割以上の自治体が協力を拒否している」などと、まったく事実でないことを強調し、自衛隊の存在を憲法に明記すべきだと、憲法改悪にあくまでも固執している。

 ほかにも、実質賃金のマイナスが続いており、さまざまな報道機関の世論調査でも「景気回復の実感がない」との回答が大多数であるにもかかわらず、10月の消費税10%への増税を押しつけようとしている。安倍首相は総雇用者所得が増えたとして「所得環境が着実に改善した」「アベノミクスによって、女性や高齢者の就労参加がすすんだ」などとしているが、年金や仕送りだけでは生活が困難な高齢者や学生、若者が低賃金の非正規労働者として働くことによって雇用者が増えただけである。しかも「働き方改革」として、長時間労働を合法化している。

 こうした居直りや虚偽の説明で、憲法改悪、消費税増税を強行しようとしている安倍政権を許さず、人権・平和・民主主義の確立に向けて、差別と戦争に反対する闘いを強化しよう。

 これまで安倍政権では、麻生太郎・財務大臣や杉田水脈・衆議院議員だけでなく、多くの国会議員が、性的少数者(LGBTQ)や女性、高齢者、障害者などにたいする差別発言をおこなってきた。しかし、議員辞職をするわけでもなく、さらにそうした差別発言を擁護してきたのが安倍首相自身である。

 今日、在日コリアンにたいするヘイトスピーチでは、公然と暴力や差別を煽動する言動が続いている。根拠のない「在日特権」をあげつらい、ウソとデマで差別をまき散らす彼ら・彼女らの姿と、国会で居直りや虚偽説明を追及され、薄ら笑いをしながら答弁する閣僚席の安倍首相や麻生財務大臣の姿が重なる。差別排外主義による社会の分断、新自由主義のもとでの格差と貧困の拡大のなかで、ヘイトスピーチを生み出してきたのは、安倍政権がすすめる反人権・国権主義の政治そのものである。

 われわれは、こうした安倍政権の「戦争をする国」づくりと、強まる憲法改悪策動に対決していかなければならない。「安倍一強」という今日の政治情況を許しているのは、この間の国政選挙での自民党圧勝の結果であることはいうまでもない。そもそも選挙が終われば、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)を認めないなどの公約を投げ捨て、選挙では争点でもなかった「集団的自衛権の容認」や「特定秘密保護法」「戦争法」「共謀罪」の新設などを強行する安倍政権であるが、今日、衆議院と参議院では、それぞれ国会発議に必要な3分の2以上の改憲勢力に支えられている。

 2月24日に実施された県民投票では、7割以上が沖縄・辺野古新基地建設反対という圧倒的な県民の意思が示された。しかし、3月1日に玉城デニー・知事が安倍首相に県民投票の結果を伝え、「民主主義国であるわが国において、直接示された民意は何よりも重く、尊重されなければならない」と訴えても、「(新基地建設は)先送りできない」と表明した。これが「戦争をする国」づくりをすすめる安倍政権の本質である。

 本年7月に実施される参議院選挙では、参議院の改憲勢力に3分2の議席を与えてはならない。そのためにも比例区、選挙区での推薦候補の必勝に全力をあげよう。比例区では、昨年の中央委員会で推薦候補を決定し、都府県連の支援候補の割り当ても確認してきた。すでに各候補者の教宣資料の配布や会合でのあいさつなどの活動がすすめられている。組織決定した比例区候補の必勝に向けて全力で選挙闘争にとりくもう。

 今回、組織決定している比例区候補は、部落解放中央共闘会議加盟単産の組織内候補で、立憲民主党から立候補する岸まきこ(自治労)吉川さおり(情報労連/NTT労組)、小沢まさとし(JP労組)、森屋たかし(私鉄総連)、みずおか俊一(日教組)と、国民民主党の大島九州男(党企業団体委員長代理)、社会民主党の吉田ただとも(前党首)、なかむら未央(沖縄県議)である。それぞれ政策協定をかわし、支援を担当する都府県連との調整などがすすんでいる。

 選挙区での選挙闘争については、選挙闘争本部の設置など、都府県連にたいする要請をしているが、立憲民主、国民民主、社民を軸に支援活動を強めていこう。とくに推薦候補について、1人区では、野党統一候補に向けた状況などをふまえた対応になることを基本にしながら、積極的なとりくみをすすめよう。今回の参議院選挙は、憲法改悪を阻止するための重要な闘いである。人権・平和・民主主義の確立に向けた政治勢力を大きく結集させるための重要な闘いであることを、一人ひとりの同盟員に訴え、推薦候補にたいする支援を拡大していこう。

 全国では条例の制定など、「部落差別解消推進法」の具体化がすすめられている。とくにこれから実施される自治体での差別事例の集約や国民意識調査にかかわって、部落差別の実態、意識の実態が明らかになるような強力なとりくみが必要である。そのためにも、地域での活動の成果を国政に反映させることができるように、部落解放運動と連携する政治勢力を大きくしていこう。同盟員の投票行動も部落解放運動にとって重要な政治活動である。「戦争をする国」づくりをすすめ、いのちや生活を奪う政治から、人権・平和・民主主義の確立をすすめる政治を変えるためにも、政治にたいする意思表示が求められている。

 いま、ここにある政治に絶望せず、部落解放同盟に結集する一人ひとりの投票行動によって、すべての推薦候補の必勝をかちとり、参議院選挙の勝利を差別のない世界を獲得する第一歩にしよう。

 

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