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部落女性の力を総結集し、第64回全国女性集会を成功させよう

「解放新聞」(2019.03.25-2900)

 世界経済フォーラムが発表した2018年版「ジェンダー・ギャップ指数」によると、日本は149か国中110位であり、低順位が続いている。その背景には、国会議員や管理職に占める女性の割合が諸外国と比べると低く、女性の社会進出が遅れている現実がある。また、働きたくても子どもを預ける保育所(園)が不足しているなど、仕事に復帰しようとしてもできない政策的な問題がある。

 2016年4月に安倍政権は、「女性が輝く日本」の実現に向けた政策を打ち出し、女性の登用を促す新たな法律として「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」を制定した。3年目になるが、この法律は罰則規定がないため、企業がどこまできちんと実施しているのか危惧されているのが実態である。

 日本の人口は年年減少し、少子高齢化社会を迎えている。男女がともに働き続け、仕事(ワーク)と生活(ライフ)の両立が可能となるような社会の実現をめざすためには、女性の生活が出産や育児・介護で変化しても仕事を辞めずに働き続けることができる環境整備や、男性にも取得しやすい育児・介護休業をはじめ、各種休業制度の充実と待機児童の解消などが重要な課題である。さらに、労働者が性別によって差別されることがなく、労働時間の短縮や、同一労働同一賃金を実現し、職場で意欲と能力を十分に発揮できるような、それを実現させる社会意識の変革と制度や仕組みが必要である。

 2016年2月にジュネーブで、国連女性差別撤廃委員会による第7回・8回の日本政府報告書の審査がおこなわれた。これまで、2回にわたり委員会から政府にたいして、マイノリティ女性の実態把握など、多くの具体的な勧告が出されたが、政府はまったく履行しておらず、委員会から厳しい批判があった。これまで、中央女性運動部の代表を派遣し、女性差別撤廃委員に部落女性の実態を訴えてきたとりくみなどの成果などもあり、これまでよりもさらに踏み込んだ内容の勧告が出された。今後とも、さまざまな女性団体との協働したとりくみをすすめ、勧告の完全実施をかちとっていこう。

 これまでアイヌ女性、在日コリアン女性、部落女性の三者で、アンケート調査結果や、国連女性差別撤廃委員会から日本政府に出された勧告をふまえた関係省庁との交渉をおこなってきた。今後も、マイノリティ女性にたいする施策の充実と政府による実態調査を協働で要求するなど、ねばり強く働きかけをしていかなければならない。

 また、2010年12月に閣議決定された「第3次男女共同参画基本計画」の積極面を活用し、自治体ごとでの部落女性の視点をふまえた、より具体的な内容の「男女平等条例」を制定する必要がある。さらに、男女共同参画審議会委員の一般公募があれば積極的に応募し、委員会のなかで部落女性をはじめ、マイノリティ女性の声を反映させていこう。このように、今日の部落解放運動では、部落差別をはじめ、女性差別、障害者差別、性的少数者(LGBTQなど)差別、複合差別にもしっかりと視点を置いたとりくみが求められている。

 さらに、ヘイトスピーチなどの差別煽動や偏見による暴力事件を許すことなく、日朝国交正常化や「慰安婦」問題の解決など、日朝、日韓友好連帯活動や日中友好運動をはじめとした国際連帯活動にも積極的にとりくむ必要がある。また、県民投票で示された民意を無視する沖縄・辺野古新基地建設の強行など、沖縄の米軍基地問題は沖縄だけの問題ではなく、日本社会の差別構造の問題であることをしっかりと捉え、反戦・平和の運動にも積極的にとりくんでいこう。

 政府は今年10月から、女性の就労支援と少子化対策のためとして、幼児教育・保育の無償化(対象は一部非課税世帯など条件がある)をおこなうことを発表した。これを受けて、新たに働きたいと思う女性が増える一方で、待機児童の問題は解決していない。保育所の増設が急務の課題となると同時に、現在、復職する女性の多くが非正規で働いているという問題もある。

 さらに、いまだに「家事や育児、介護は女性が担うもの」とする「母性神話」や「3歳児神話」にふり回され、「性別役割分業」は当たり前といった意識が女性のなかにも存在する。これらの意識が、女性の社会進出の道を大きく制限している。男女平等の意識をつくるには、なにがジェンダー(社会的文化的な性別役割・分業の固定化)なのかということに気づくことが大切である。女性にたいする差別意識や日常生活、メディアのなかに存在するジェンダーなどに気づき、身近なことから制度や慣習について見直すことができるような「ジェンダーにとらわれない意識」を積極的に形成していくことが重要である。また、セクシャルハラスメントやパワーハラスメントなどについても、しっかりとした相談窓口の設置など実効ある対策を求めていこう。

 組織内でも女性が能力を発揮できる組織運営、運動になっているのか再点検する必要がある。2017年に、各都府県連を対象に、女性部の結成状況や男女平等社会推進本部の設置状況などのアンケート調査をおこなった。また、昨年は全国各ブロック別解放学校で「狭山」や「部落差別推進解消法」の課題とともに、「男女平等社会実現基本方針具体化にむけた状況」、「セクシャルハラスメント・パワーハラスメント」についての学習会をおこなった。今後も女性部が中心になり、都府県連・支部で具体的なとりくみをすすめ、女性部としての人材育成を中心に組織強化に結びつけていこう。

 第64回全国女性集会を5月11、12日、徳島市内でひらく。オープニングには、獅子舞をはじめ、手話を交えた歌が披露される。分科会では、部落解放・人権政策の確立に向けたとりくみ、とくに「推進法」を周知し具体化する闘い、狭山再審闘争をはじめ、識字活動の課題、鳥取ループ・示現舎にたいする裁判闘争、教育・保育運動の課題、複合差別の視点をふくめた男女平等社会の実現、自立自闘に向けた闘いと人材育成をはじめとした女性部組織の拡大、「人権と福祉のまちづくり」の実現など、7つのテーマにわかれて運営する。各分科会で女性部の活動の実践交流と論議を深め、活発な意見を出し合おう。

 女性をとりまく情況は大きく変化している。第64回全国女性集会での実践交流や討議の成果を活かし、部落解放運動だけではなく、さまざまな差別と闘う国内外の女性たちと反差別・反貧困のネットワークをつくることが求められている。すべての女性たちとの連帯をさらに強化し、人権と平和の確立、いのちと生活を守る協働のとりくみを地域ですすめよう。

 反人権主義、国権主義の政治がおしすすめられる今日、社会にたいする不安・不満が安易に差別排外主義につながっている。女性部が先頭に立って、安倍政権がすすめる憲法改悪に断固反対し、差別と戦争に反対する闘いを強化しよう。女性差別を許さず、ジェンダーによって役割を強制されたり、生き方を制限されたりすることのない人権社会の実現に向けて、部落女性の力を総結集し、第64回全国女性集会を成功させよう。

 

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