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鹿児島での全高・全青を高校生一人ひとりの新たな飛躍の場に

「解放新聞」(2019.07.15-2915)

 先般、今夏の全国集会の開催地となる鹿児島市内で、全国高校生・青年活動者会議を開催し、全国集会に向けて協議をおこなうとともに、学習と交流を深めてきた。

 とくに、高校生の分科会に関しては、限られた時間のなかで、九州ブロックの高校生の代表を中心にした活発な意見交換と青年のフォローアップによって、充実した準備協議がすすめられていた。

 ぜひとも、多くの高校生の参加を勝ち取った昨年の兵庫集会の成果と盛りあがりを、今夏の鹿児島集会へもひき継ぎ、多くの高校生が自分の思いを伝え、仲間の声に耳を傾け、議論と交流を深めてもらいたい。参加するすべての高校生一人ひとりにとって、有意義な場となることを心から願うものである。

 企業の経済活動を優先し、人びとの安心安全な暮らしを軽視し、社会保障を切り下げ続ける現政権の舵取りによって、社会に自己責任論が蔓延している。

 そして、格差と貧困問題が深刻化するなかで、個人の尊厳と人権を否定する不寛容な風潮が日本社会全体に広がっている。

 とりわけ、SNSなどインターネット上では、差別煽動への対応が遅れており、少数者や社会的弱者への共感や想像力、寛容さを欠いた差別的排他的な言説が溢れている。

 部落差別をめぐっても、インターネット上の差別は深刻かつ悪質化し、新たな様相もみせている。

 鳥取ループ・示現舎は、「全国部落調査」をもとに全国の被差別部落の所在地を晒したうえに、「部落探訪」と称して、被差別部落のようすを何らの配慮もなく、興味本位に公開するなど、差別を助長、煽動する行為をくり返している。

 また、部落問題や部落解放運動にたいする誤解や偏見にもとづく流言飛語や、史実を無視し捏造された情報が、あたかも事実であるかのように無責任に発信されている。

 差別や人権侵害につながる情報や、個人のプライバシーにかかわる情報も、情報の真偽が確かめられることもなく、瞬時に、無限に拡散され、半永久的に保存される時代を迎えている。

 インターネットやソーシャルメディアの利用に関するさまざまな調査結果を垣間見ると、主要な情報収集源は、全世代で新聞や雑誌、テレビやラジオなどの媒体から、インターネットに移行している。

 とりわけ、若年層では「パソコン」よりも「スマートフォン」、「インターネット」よりも「SNS上の投稿やニュースコンテンツ」への接触頻度が高い傾向にあることが明らかになっている。

 つまり、前述したインターネット上の差別情報の氾濫と、近年の学校での部落問題学習の機会の減少とも相まって、若い世代、とりわけ高校生以下の子どもたちにとって、インターネット上の差別情報への接触が部落問題との「出会い」となっていることは否めない事実だ。

 教育運動の課題として、子どもたちの発達段階や地域の実情に応じた部落問題学習の再構築にとりくみ、部落問題との「確かな出会い」を保障していくことが喫緊の課題であろう。

 今日、直接的な被差別体験を自覚している高校生は少なく、学校の人権・同和教育のなかでも、部落差別は、歴史上の過去の事実として取りあげられる傾向が続いてきた。

 一方で、情報化社会の隆盛のなかで、差別を煽動し、人権侵害を助長するような情報が飛び交っている。

 かつて、部落差別は過去の歴史の話だと思っていたが、身近な差別事象を体験していらい、自分自身の将来に恐怖と不安を感じているとの心情を吐露した高校生がいた。これから先の自分の将来の行く手を阻むかもしれない存在として、初めて目の前に登場した部落差別について、漠然とした不安を言葉にしたものだ。

 こうした高校生一人ひとりがかかえる不安や悩みに、高校生の仲間はもとより、支部や地域の青年や大人たちがともに向き合い、差別と闘うことをともに考え、行動に移し、一つひとつの課題を解決していく人と人とのつながりを再構築していくことが求められている。

 きたる8月17、18日、全国各地から大勢の高校生が鹿児島の地に集い、熱い議論がかわされることを期待する。

 高校生一人ひとりの新たな飛躍の場とするために、日頃の各地でのとりくみの成果や課題、悩みを持ち寄り、活発な交流と議論をすすめよう。

 

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