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主張

 

第2次中央集会に結集し、
「部落差別解消推進法」具体化の闘いを強化しよう

「解放新聞」(2019.09.23-2924)

 9月11日、安倍首相は自民党役員人事とともに、内閣を改造し、第4次安倍再改造内閣を発足させた。改造内閣では、19閣僚のうち、官房長官と財務大臣を除く17閣僚が交代したが、多くの「側近」を登用するなど、まさに憲法改悪に向けた布陣である。

 安倍首相は記者会見で、7月に実施された参議院選挙で9議席を減らし、自民党単独過半数と改憲発議に必要な3分の2の議席を確保することができなかったにもかかわらず、「国民の信を得た」と強弁。改憲について自民党主導ですすめるとして、「選挙で約束したことを実行に移すのが政治の責任」と、任期中の憲法改悪をあらためて強調した。しかし、選挙結果は、明らかに安倍政権による改憲に反対するものである。この間、安倍政権は、集団的自衛権容認の閣議決定や「戦争法」の強行採決、沖縄県民の民意を無視した辺野古の新基地建設など、「戦争をする国」づくりをすすめてきた。

 一方、貧困や格差はますます固定化、拡大している。9月6日には、厚生労働省が世帯ごとの所得格差に関する2017年調査結果を発表した。3年ごとの調査で、格差を示す指標が過去最大だった14年調査結果から、わずかに改善したことで、厚生労働省は「景気好転で所得が増えた」「格差拡大に歯止め」「アベノミクスの成果」などと評価している。しかし、わずかばかりの改善で、高水準の格差が縮まらない実態は変わらず、女性や子どもの貧困対策もすすんでいない。さらに非正規労働者は増大し、毎月勤労統計調査でも、実質賃金は7か月連続で減少している。

 このように貧困や格差の問題が深刻化しているなかで、安倍首相は「急速にすすむ少子高齢化への対応」として、70歳までの就労機会確保などに向けた具体策を協議するために「全世代型社会保障検討会議」を新設するとしている。しかし、年金制度問題で明らかになったように、公的年金の受給開始年齢を遅らせ、しかも支給額を削減するなど制度そのものが破綻している。さらに医療や介護制度も改悪するなかで、軍事費予算を6年連続で過去最大を更新している。安倍政権による日米軍事同盟の強化と憲法改悪を許さず、平和と人権、民主主義の確立のために、改憲阻止の闘いをいっそう強めよう。

 10月1日から消費税が10%に増税される。株価高騰で演出してきたアベノミクス効果も消え、米中貿易摩擦の激化、日中や日韓関係の悪化などによる景気低迷のなかで、消費税増税はわれわれの生活を直撃する。さらに安倍政権のもとで、貧困や格差の問題ばかりでなく、待機児童解消や女性の社会進出など、多くの課題が放置されたままである。こうした閉塞化した社会情況のなかで、ヘイトスピーチのように、公然と差別や暴力を煽動する言動が日常化している。

 神奈川県川崎市では、ヘイトスピーチを規制するために、違反者にたいして刑事罰を盛り込んだ条例素案を市議会に提示している。「ヘイトスピーチ解消法」をふまえた自治体のとりくみとして注目したい。また、川崎市をはじめ、京都府や府内の自治体では、ヘイト集会の公園の使用禁止など、公的施設の利用に関する指針(ガイドライン)の策定もすすんでいる。さらに、香川県内では、丸亀市や東かがわ市が差別的憎悪煽動での公的施設の使用禁止を決定しているほか、観音寺市では、公園や駐車場に関する条例のなかに、ヘイトスピーチを禁止する条項を盛り込むなどの積極的な措置がとられている。もちろん法律や条例だけで、ヘイトスピーチをくり返す在特会や日本第一党などの悪質で確信犯的な集団の差別言動を抑止することはできない。しかし、差別への異議申し立ての闘いを拡げることで、差別の実態を広く社会に訴え、国や自治体が人権政策を積極的にとりくむように働きかけることは重要である。

 週刊誌の「韓国なんて要らない」などと見出しにした特集記事に批判があいつぎ、編集部が公式サイトに「お詫び」を掲載した。韓国大法廷が出した「徴用工訴訟」での原告勝訴の判決があった18年10月以降、安倍政権は韓国政府を批判し、とくに本年7月の参議院選挙直前には、半導体関連材料の輸出規制を強化するなど、日韓関係は悪化する一方である。今回の週刊誌の特集は、安倍政権の韓国敵視政策に同調するものであり、この週刊誌だけでなく、多くのマスメディアが率先して民族差別を煽動するような内容の報道をくり返している。

 安倍政権がすすめる反人権主義・国権主義の政治のなかで、差別や人権をめぐる課題が大きく後退している。われわれは、あらためて反差別共同闘争の再構築、強化に向けて全力でとりくまなければならない。

 高度情報化時代のなかで、インターネット上の差別情報への対応は、今日の部落解放運動にとって重要な課題である。鳥取ループ・示現舎の「部落探訪」も、法務省が昨年12月27日付けで出した「インターネット上の同和地区に関する識別情報の摘示事案の立件及び処理について」で明確に差別情報とされ、東京法務局から説示を受けた。しかし、いまだに「部落探訪」をインターネット上に掲載を続けている。しかも現在裁判中の「全国部落調査」をもとに、未指定や事業未実施地区などを訪れ、動画音声では「例の資料によれば」などと、姑息ないい回しで、世帯数など過去の地区状況を解説している。

 この間、都府県連のとりくみで、全国の自治体から地方法務局などに削除要請がされている。法務省によれば、東京法務局に集約して対応しているとされているが、削除要請にも応じない鳥取ループ・示現舎を放置することは許されない。あらためて地方法務局への申し入れや自治体への要請などを強めていこう。

 8月から「部落差別解消推進法」第6条に関する部落差別問題についての国民意識調査が実施されている。設問項目などは明らかにされていないが、法務省交渉では調査対象者は全国で1万人との説明があった。すでに、全国の自治体や教育委員会が把握している差別事象やインターネット上の部落差別情報の集約などは終了している。今回の国民意識調査の結果とあわせて、法務省がどのように分析し、部落差別撤廃に向けた課題を明らかにするのか、しっかりと検証しなければならない。さらに、自治体が同様の調査をするように、行政交渉や議員要請などを強力にすすめよう。

 「部落差別解消推進法」具体化のとりくみでは、全国での条例づくりがすすんでいる。「ヘイトスピーチ解消法」をふまえた条例づくり、「障害者差別解消法」の具体化など、それぞれの個別人権課題のとりくみの成果と課題などをともに学ぶことも重要である。そうした協働の営みを積み上げ、国内人権委員会の創設を中心にした人権侵害救済制度の確立など、包括的な人権の法制度の充実に向けて、第2次中央集会に結集し、政府各省交渉や国会議員要請に全力でとりくもう。

 

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