pagetop

NEWS & 主張

ネット差別は「無法地帯」 〜国に要望と吉村知事
大阪

「解放新聞」(2021.06.05-2992)

大阪府庁とHRCビルをオンラインでつなぎ政策懇談会をおこなった(5月17日・大阪市)

大阪府庁とHRCビルをオンラインでつなぎ政策懇談会をおこなった(5月17日・大阪市)

 【大阪支局】 府連と吉村洋文・府知事との政策懇談会を5月17日、新型コロナウイルス感染防止の観点から大阪市の大阪府庁とHRCビルをオンラインでつないでひらいた。吉村知事はコロナ差別について「絶対に許されない」とし、コロナ禍による生活困窮支援について「自立相談窓口の活用を周知し、市町村にきめ細かな相談支援を働きかける」などと表明。ネット上の部落差別については「匿名性を背景に無法地帯になっている。状況を見極めながらできる限り早く国に要望したい」とのべた。

 懇談会には、大阪府の吉村知事、山口信彦・副知事、橋本正司・教育長らが出席。府連からは赤井隆史・委員長はじめ3役が出席した。

 赤井委員長は、新型コロナ感染拡大について「吉村知事がリーダーシップを発揮して一日も早く終息に向かえるように努力をお願いしたい」と要請。ネット上の部落差別については「有識者会議での議論をもとにした国への要請はコロナ禍の状況のなかで残念ながら実現していない。大阪はいち早く条例で部落差別調査や土地差別を規制した。全国に先駆けた先進性をこの問題でもぜひ発揮していただきたい」と求めた。

 村井康利・書記長は懇談会のテーマを提起。吉村知事、橋本教育長が回答したおもな内容は、つぎのとおり。

  • ①新型コロナの感染者や家族、医療従事者にたいする偏見、誹謗中傷は絶対に許されない。「特別措置法」にもとづき正しい知識・情報で行動してもらえるよう啓発にとりくむ。
  • ②府民意識調査でもネット上の同和地区の所在地掲載について過半数が人権侵害と認識している。行政職員の差別事象もふまえ、大阪府同和問題解決推進審議会の意見も聞きながら、教育・啓発の充実をはかる。有識者会議での議論をふまえた要望は、府が国に伝えることはできていない。発信者情報の開示手続きの簡素化も、早期の削除にはつながっておらず、早急に国に提案したい。
  • ③同和地区の所在地を掲載するネット上の投稿にたいしては法務局にプロバイダなどに削除を働きかけるよう要請してきた。ひき続きとりくみをすすめるとともに早急に国にたいする提案をおこなっていきたい。
  • ④ヘイトスピーチは決して許されるものではない。事業者は「府ヘイトスピーチ解消推進条例」の趣旨を十分に理解いただき、行動をとっていただきたい。「ヘイトスピーチを許さない」という周知・啓発をしっかりとりくんでいきたい。
  • ⑤府立高校の役割では、今後も誰一人取り残さない教育をすすめていく。「一人一社制」については、セーフティネットとして維持しつつ、生徒による主体的で多様な就職先の選択も支援していく。

 回答をふまえた意見交換では、▽サイトブロッキングなど国への早期の要請▽和歌山県が条例で部落の所在地情報の摘示を規制していることをふまえた府条例改正などを求めた。

 吉村知事は、ネット上の部落差別について「匿名性にかこつけて無法地帯のようになっている。コロナの状況を見極めながら、できる限り早く要望したい」、山口副知事は府条例の改正について「府条例は業種を絞って規制するものになっており、提案を勉強させていただき検討したい」などとのべた。

 

「解放新聞」購読の申し込み先
解放新聞社 大阪市港区波除4丁目1-37 TEL 06-6581-8516/FAX 06-6581-8517
定 価:1部 8頁 115円/特別号(年1回 12頁 180円)
年ぎめ:1部(月3回発行)4320円(含特別号/送料別)
送 料: 年 1554円(1部購読の場合)