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共闘会議が県と交渉 〜モニタリングの試行など回答
愛知

「解放新聞」(2021.10.05-3004)

 【愛知支局】 部落解放愛知県共闘会議(豊田弘・議長(当時。現在は安藤伸一・議長))は7月19日、名古屋市・県自治センターで愛知県交渉をおこない、26人が参加した。県はインターネット上の「不当な差別」や誹謗中傷の防止に向け、モニタリング業務を試行的に事業者に委託して実施すると明らかにした。また、「部落差別解消推進法」にもとづく県条例制定にかかわり、さまざまな人権課題に対応する有識者会議で検討がはじまっており、モニタリングの結果から出される課題も分析するとした。

 高木浩司・副議長は、「感染症拡大のなか、偏見や差別が横行している。いまこそ人権を守るとりくみを」と訴え、「鳥取ループ・示現舎に代表されるネット上の悪質な部落差別事件はあとを絶たない。解消に向けたさらなるとりくみを」と要請。また、連合の採用選考時にかかわるインターネット調査結果から「本籍地や出生地の回答を求められた(56%)」などの実態も指摘し、公正採用選考の推進を訴えた。

 佐々木菜々子・副知事は、部落差別について「意識調査では、残念ながら引き続き差別意識解消に向けたとりくみが必要な状況」「特定の地域を動画配信するなど人権上許されない問題も発生している」とのべ、「部落差別をはじめ新型コロナウイルス感染症や外国人、障害者に関連した差別的な書き込みを対象にモニタリングを試行的に実施する。内容を検証し今後のとりくみにつなげる」と表明。「人権教育・啓発に関する愛知県行動計画にもとづき、全庁的なとりくみを推進する」と決意を語った。

 交渉では、「推進法」などの職員研修にかかわり、部落差別の具体的事例を活用するなど、より理解を深める工夫を、と要請。また、部落への忌避意識が根強く、ネット上に差別書き込みも横行する現実のなか、県民の多くが部落問題を知らない実態(「人権に関する県民意識調査」結果から)を指摘し、県条例を制定して部落問題の正しい認識を共有し、差別解消への具体的なとりくみを、と訴えた。

 県は「新たな条例の制定、さまざまな人権課題への体制、他府県のとりくみ状況など研究してきた。さまざまな人権課題への具体的対応策を検討し人権施策を推進するため、本年度新たに有識者の会議を開催することになった」とし「この会議では他県の条例制定状況をふまえ、さまざまな意見が出されると考えている。今年度開始のモニタリングの結果から出た課題を分析するとともに今後のとりくみを検討したい」と答えた。

 モニタリングについては、県は18年11月から人権推進課の全職員が差別情報を監視し、名古屋法務局、関係市などと情報共有して削除要請してきた。今年度からは、業務を試行的に事業者に委託し「コンピューターシステムで該当する書き込みをキーワードで抽出し、結果の報告を受ける」として「内容を検証し必要に応じて法務局に削除要請するとともに効果的な啓発内容等、今後のとりくみに活用する」とした。対象は、県関係の新型コロナ差別、部落差別、外国人差別、障害者差別の書き込み。県共闘は「最近の差別書き込みは巧妙化している。モニタリングは、業者まかせではなく、とりくみの実績がある県がしっかりとリーダーシップを」と強く訴えた。

 そのほか、県内各市町村の人権教育・啓発の「行動計画」策定状況や、小中学校へのタブレット導入を促すICT支援員の拡充、県立高校での性別によらない名簿の導入、新型コロナ感染症のワクチン接種予約申し込みの隣保館での対応をふくめた、社会的弱者に寄りそうしくみづくりなどで回答を受け、意見交換した。

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