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北陸で初の条例 〜石川県で新型コロナ差別解消条例
石川・北陸

「解放新聞」(2021.12.15-3011)

人権条例制定についてもひき続き市町への要請を強く求めた(11月17日・石川県金沢市)

人権条例制定についてもひき続き市町への要請を強く求めた(11月17日・石川県金沢市)

<石川県>人権推進委の設置を 〜具体的な回答はなく

 【石川】 石川県交渉を11月17日午後、金沢市・石川県庁でおこない、「推進法」具体化を実現するための「条例」制定や、インターネット上の差別拡散への対策や市町へのよびかけを要請した。交渉は新型コロナ感染症の感染拡大を受け、2年ぶりの実施となった。県ではこの間、「新型コロナ差別解消条例」(3月25日公布・北陸地域で初めて)を策定。また部落差別に関するインターネット上のモニタリングについて昨年の8月から導入と報告した。

 部落解放同盟から池田、安田、髙橋中執ら5人、石川県同和教育研究協議会から山口了・会長が出席した。県からは、加藤佳隆・総務部長らが出席した。

 まず、前回の交渉で提起した人権意識調査で明らかになった部落問題認識が低い若年層への啓発について、県は人権フェスティバルでの子どもやその親世代への啓発をねらった開催方法の工夫を報告。部落解放同盟から市民団体ブースなどを設けるなど市民とともにつくる集会方法を提案した。

 庁内での人権推進委員の設置についてもあらためて県の見解を聞いた。県は、県庁職員が閲覧するインターネット上の掲示板への、差別土地問い合わせ対応マニュアル掲載を報告。推進委の設置については具体的な回答はなかった。県の姿勢について、周知方法は一方的なもので、職員の把握の状況も不明と指摘。再度、委員の設置を要請した。

 人権条例制定についても、ひき続き、全市町での制定をめざし県の主導力をもったとりくみを要請した。インターネット上のモニタリングについては昨年8月の開始以降に金沢法務局に3件を削除依頼し、2件が削除されたことが報告された。県内自治体でのモニタリングについても実施するよう働きかけを要請した。

 

<金沢市>意識調査を実施〜事前登録型への準備整う

 【北陸支局】 石川県金沢市交渉を11月18日午後、金沢市・市庁舎内でおこない、市からは相川一郎・副市長ら13人が出席した。

 人権意識調査については、「12月2日から調査票を送付し、1月以降にまとめて分析をおこない、年度内に結果報告書をまとめたい」と市が説明。

 また、「10月からモニタリングを始めた」「県のとりくみを参考に、週1回1時間程度、人権担当者が実施」と説明した。

 戸籍等の不正取得問題では、「6件5人分の請求書を確認した」とした。市が導入している被害告知型の本人通知制度については「不正の確認に時間を要し、事前登録型への移行を前向きに検討してきた」と示した。

 

<富山県>モニタリングを実施〜1件が削除される

 【北陸支局】 富山県交渉を11月18日午前、富山市・富山県民会館でおこない、県からは水落仁・生活環境文化部次長ら15人が出席した。

 昨年度の交渉で、庁内連絡会議などで情報の共有に課題を残していることが明らかになったため、開催状況がテーマになっていた。だが、実施したのは年1回だけ。課題と情報の共有がはかられるのか疑問が残った。

 モニタリングの実施では、「昨年12月に1件(部落民への賤称語)の削除要請をおこない、ことしの9月に削除された」と県が説明し、「今後、嘱託職員にやってもらう」とのべたため、部落解放同盟からは「部落問題を知っていなくては難しい。具体的な内容や基準を定めてすすめてほしい」と提言した。

 被差別部落の問い合わせ問題と対応マニュアルの策定では、1月に県立図書館で来館者から「被差別部落の所在地について書いた本はあるか」と聞かれ、「答えられない」と返事すると帰った、という事件があった。「問い合わせの理由を聞かなければならないし、しっかり対応することが啓発につながる」と部落解放同盟からは指摘した。

 戸籍等の不正取得問題では、これまでに富山市で4件、高岡市で3件を確認。「県として町村をふくめて集計してほしい」と要請すると、県は「市町村が自己判断のもとで解決していく問題だと考えている」とのべたため、「差別を解決する立場で仕事をしてほしい」と指摘した。

 最後に水落次長が「前へすすめたい」とのべた。

 

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