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差別情報の削除求め小諸、佐久の両市町が要請
長野

「解放新聞」(2022.01.15-3014)

要請書を手渡す柳田清二・佐久市長(右から2番目)と小泉俊博・小諸市長(右端)(2021年12月13日・長野県佐久市)

要請書を手渡す柳田清二・佐久市長(右から2番目)と小泉俊博・小諸市長(右端)(2021年12月13日・長野県佐久市)

 【長野】 「全国部落調査」復刻版出版事件の被告である鳥取ループ・示現舎らがインターネット上に差別動画「部落探訪」を流し続けており、2次、3次の差別の被害が各地で起きている。長野県の小泉俊博・小諸市長と柳田清二・佐久市長は昨年12月13日、両市内の「部落探訪」の削除を求め、佐久市内の長野地方法務局佐久支局で要請行動をおこなった。「インターネット上における人権侵害事象に関する要望書」を平田圭寿・長野地方法務局人権擁護課長、神林義明・佐久支局長に提出し、意見交換した。

 県内では、鳥取ループらが、特定の地域を「同和地区」として撮影した動画や写真をインターネット上に掲載しており、今年度は小諸市で1件、佐久市で10件の掲載が確認されている。これまで両市は地元の長野県連佐久地区協議会などからの報告と削除要請を受け、そのつど法務局に削除を要請してきた。しかし、要請しても、削除の判断は各プロバイダにゆだねられており、掲載が続いてきた。この状況のなか、復刻版出版事件で昨年9月27日、東京地裁が、部落の地名リスト公表を違法とし、公表による深刻な被害を認める判決を出したことから、両市長名での要請に踏み切った。

 要望した項目は▽掲載された人権侵害情報が確実かつ速やかに削除されるよう、プロバイダ等に強く要請を▽行為の相手方が明らかなときには、本人に人権侵害情報を削除するよう説示、または勧告の措置を▽同和地区を摘示する情報は差別を助長・誘発するものであることと、これらの情報を公開する行為の違法性について、広く住民へ周知・啓発を、の3点。要望書の作成には、佐久地区協議会も協力した。

 要請後の記者会見では、両市長は、「部落探訪」について関係機関と情報共有すると法務局が回答したことを報告。小諸市の小泉市長は「被差別部落の所在地公開は違法と広く市民に発信する意味でも、これまでよりも一歩踏み込んだ要請にとりくんだ」と語った。佐久市の柳田市長も「あってはならない行為にたいし、自治体として毅然とした態度で削除を求め続けてきた」とのべ、今後の動向を注視していきたい、と語った。

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