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NEWS & 主張

人権条例生かし 〜炭谷さんが講演
愛知

「解放新聞」(2022.10.15-3042)

 【愛知支局】 部落解放愛知県共闘会議(安藤伸一・議長)が主催する部落解放をめざす愛知研修会が6月15日、名古屋市公会堂でひらかれた。恩賜財団済生会理事長の炭谷茂さんが「人権が尊重される社会を目指して〜愛知県人権条例を生かす〜」をテーマに講演した。

 学生時代、日本には福祉国家が必要だと考えていた炭谷さんは、東京・山谷、大阪・釜ヶ崎の支援や、障害をもっている人たちと生活をともにしながら活動をしてきた。卒業後は、旧厚生省に入り、37年間、公務員として働いた。そんな炭谷さんが一番勉強になったというのが1993年から2年間、同和行政の政府責任者(旧総務庁地域改善対策室長)として仕事をしたときだ。部落問題に出会ったのは、このときが初めてだった。

 被差別部落の実情を知らなければということで行けば崖の下でじめじめしたところに10数軒の住宅があり、トイレも風呂も共同だった。この経験が人権の課題を本当に実感した瞬間だった。何とか部落問題を解決しないといけないと思うようになり、人生の芯になっている。

 退官後も人権に直結する課題について生涯携わる思いで活動している。とくに精神障害、発達障害、被差別部落、中国人残留孤児、在日コリアン、ホームレス、刑務所出所者などの問題にかかわっている。

 2002年3月、「地域改善対策特定事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律」(「地対財特法」)が期限切れでなくなった。決して同和問題が解決したから、なくしたのではない。一般行政として同和行政をおこなうことを確認した。私は心配したが、その通りになった。「法律がなくなったのだから、同和行政をする必要はない」という考えが広がった。

 「愛知県人権条例」が制定され、愛知県が人権行政を牽引していくことを願っている。

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