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統一自治体選挙での組織内・推薦候補の必勝へ全力でとりくもう

「解放新聞」(2023.03.05-3057)

 たび重なる閣僚の不祥事による辞任、人権感覚が問われる言動で起用そのものが疑問視されていた杉田水脈・総務政務官の更迭、岸田首相の側近である荒井勝喜・首相秘書官による「同性婚の人が隣に住んでいるのもちょっと嫌だ」「同性婚を認めたら国を捨てる人が出てくる」との差別発言など、いまの政府は目を背けたくなる惨状にある。

 とくに秘書官の発言は、そもそも同性婚の制度化について岸田首相の「社会が変わってしまう課題だ」との答弁が引き金となっており、岸田首相の人権感覚、政治家の資質そのもの、政治の劣化の問題だ。

 日本はいま、世界経済の同時不況の影響を受けながら、不安定な為替相場、ゼロ金利政策の見直し、歯止めのかからないインフレ、税金と保険料の高額負担、財政赤字の膨張、設備投資の低下、国内消費の減少などによって、市民生活の悪化がすすんでいる。

 岸田政権は悪化している市民生活を横におき、「安保関連3文書」改訂の閣議決定、軍事力の増強と増税、原発の再稼働と新増設を、ていねいな議論をへることなくおしすすめようとしている。

 いまこそ政治が市民生活の立て直しにどう対応していくか、厳しく問われている。

 被差別マイノリティや少数者、社会的困難を抱えている人など、政治に声を届けられない人に寄り添い、光を当てていくことこそが政治本来の使命である。

 この4月に予定されている第20回統一自治体選挙は、そのことが大きく問われており、4月9日に知事選挙、政令指定都市市長選挙、道府県議会議員選挙、政令指定都市議会議員選挙が、4月23日に政令指定都市以外の市区町村首長選挙・議会議員選挙が実施される。

 部落解放運動が政治に何を求めていくのか、あらためてその意味を問い直し、各都府県連の部落出身・組織内候補はもとより、連携する推薦候補の必勝に向けて全力でとりくんでいくことが求められている。

 「障害者差別解消法」「ヘイトスピーチ解消法」「部落差別解消推進法」「アイヌ施策推進法」など個別法の制定、全国各自治体では人権尊重と差別解消に関する条例制定の動きが着実に拡がっている。

 人権尊重に関する条例は17都府県、部落差別に関する条例は8府県で制定・改正されている。

 「部落差別解消推進法」制定以降、福岡県、奈良県、和歌山県、熊本県、埼玉県のほか、兵庫県たつの市をはじめ市町村でも「部落差別解消条例」が制定、また、鹿児島県、宮崎県、愛知県、三重県(全部改正)をはじめ、各地で「人権条例」が制定。大分県では県条例と県内全市町村で条例の改正がおこなわれるなど、自治体で「部落差別解消条例」「人権条例」制定のとりくみが着実に拡がっている。

 あわせて各自治体では、インターネット上の部落差別など人権侵害情報を削除するモニタリング活動の展開をはじめ、和歌山県や三重県、長崎県、兵庫県尼崎市などでは防止や抑止策、支援策の措置がとられ、大阪府でもインターネット上の誹謗・中傷などの人権侵害を防止するための条例が成立し、より具体的・効果的な施策・相談体制の充実などが国に先行して模索されている。

 難航していたLGBT法案の制定も、荒井首相秘書官の差別発言を契機に各自治体での条例制定の動きとあわせ、急速にその機運が盛り上がってきている。

 国会での包括的な人権の法制度確立に向けた運動と、自治体レベルでの「部落差別解消条例」や「人権条例」制定をはじめとしたとりくみ・成果を有機的に結びつけていく必要がある。

 地方からボトムアップで部落解放・人権政策を推進していくためにも、これら条例制定に向けた議会・各会派への働きかけなど、部落出身・組織内候補、推薦候補が果たす役割はきわめて大きい。

 2020年から続いているコロナ禍の影響は、容赦なく部落に襲いかかっている。

 ワクチン接種や各種給付金申請についてインターネット上で予約できない「情報弱者」の問題をはじめ、各都府県連で独自におこなわれた困りごとアンケート調査や全国隣保館連絡協議会(全隣協)の調査結果からも、高齢者や障害者、ひとり親家庭、子どもの孤立、雇い止めや収入減の実態が明らかになっている。

 とくに女性に課題が集中しており、隣保館をはじめ地域でのさまざまな困りごとにたいする相談活動の強化など、困難を抱えている人々に確実に施策を届けることは、地方政治の大きな責務・役割でもある。

 また、2002年に特別対策が終了して以降、部落の人口減少や高齢化や単身世帯の増加など、急激に世帯構造が変化し、あらゆる分野で格差や貧困が拡大している今日、高齢化、孤立化、貧困化と人口減少・流動化に加え、さまざまな社会的困難層の課題が部落に山積している。

 厚生労働省は「『地域共生社会』の実現に向けた隣保館の役割〜重層的支援体制整備事業の実施について」のなかで、「支え手」「受け手」という関係を超えて、地域住民や地域の多様な主体が「我が事」として参画し、人と人、人と資源が世代や分野を超えてつながることで、住民一人ひとりの暮らしと生きがい、地域をともにつくっていく社会づくりでの隣保館の役割の重要性を指摘している。

 2021年4月から実施されている重層的支援体制整備事業では、「断らない相談」「参加支援」「地域づくりに向けた支援」を一体的に実施し、地域住民の複雑化・複合化したニーズにたいする包括的な支援体制を構築するとしている。このことは、まさに隣保館や部落で実践されてきたとりくみそのものであるが、この事業の多くは部落を素通りしている状態にある。

 「改正社会福祉法」にもとづく包括的支援体制整備にあたり厚生労働省は、地域福祉を担う関係機関の一つとして隣保館も位置づけられるとの見解を示している。地域福祉の拠点機能を発揮、役割が果たせるよう具体的に自治体の「地域福祉計画」に隣保館を位置づけること、相談機能の充実と強化、各種生活困窮者自立支援事業と連携できるよう各自治体に働きかけていく必要がある。

 各都府県連・支部では、高齢者の居場所づくりや子ども食堂・学習支援などにとりくむNPO法人などを設立し、さまざまな社会的課題解決に向けた事業にとりくむ実践が営まれているが、地域住民や周辺地域住民の困りごとや悩みに日々、直面している。

 これら日常生活での住民の困りごとや悩み、生活課題を地方議会に届け、行政施策にしっかり反映させていく役割が地方議員に求められており、部落出身・組織内候補・推薦候補が果たすべき役割はきわめて大きいといえる。

 私たちが重視する部落問題や人権課題をはじめ地域生活課題の解決に向けた政策の推進はある意味、党派を超えた課題でもある。

 各都府県連でも、その視点にたった超党派の議員連盟や学習会を組織し、部落問題への理解や人権課題解決をよびかけている。

 1993年に全国部落出身議員連絡会が結成されて今年で30周年になる。「人権条例」の制定・改正や地域共生社会づくり、生活困窮者自立支援事業の推進など、自治体議員の役割はますます重要になっている。

 超党派による各都府県レベルの議員団活動の実践などをふまえ、全国部落出身議員連絡会の活動の再開に向けた準備を中央本部としてもすすめていきたい。

 地方政治はより市民の日常の生活に密着した課題や政策を取り扱う。私たちの思いや願いを託す4月の統一自治体選挙にのぞむ部落出身・組織内候補をはじめ、連携する推薦議員の必勝のために、全力をあげて選挙闘争にとりくむことをよびかける。

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