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NEWS & 主張

実効性ある対応求め 〜ネット上の差別の深刻化に
法務省交渉

「解放新聞」(2023.07.25-3071)

深刻化するインターネット上の部落差別情報にたいし、実効性ある対応を求めた(6月27日・東京)

深刻化するインターネット上の部落差別情報にたいし、実効性ある対応を求めた(6月27日・東京)

 法務省交渉を6月27日午後、東京の省内でおこない、西島委員長、赤井書記長、村井、安田の両中執はじめ10人が参加。差別を禁止し被害を救済する法制度がないまま情報技術が急速にすすみ、インターネット上に部落の所在地など(識別情報)をさらす部落差別が深刻化している現状を追及。差別情報の速やかな削除へ実効性ある対応を求めた。

 省は、「識別情報の摘示」は人権擁護上看過できないとし、判断基準や対処のあり方などを法的に整理した有識者検討会「取りまとめ」(昨年5月)を全力で事業者に周知したいと回答。業界の自主規制で統一した約款をつくることも「ひとつの手ではないか」、「いま何ができるかをしっかり考えてとりくむ」などと語った。

 「削除指針」の策定・公表をプラットフォーム事業者に義務づける方向性が、総務省が設けた研究会の違法・有害情報対策ワーキングチームで検討されていることについては、「識別情報」の削除に向けて、省の強い働きかけを求めた。

 デジタル庁創設にともない、4月に施行された「改正個人情報保護法」については、個人情報保護委員会が、「識別情報」を原則収集禁止の「要配慮個人情報」に位置づけていない問題を追及。自治体が国の不備を補って同法の「施行条例」などで位置づけている現状や、対話型AI(人工知能)による学習データ収集など情報技術がすすむなかで差別がいっそう深刻化する事態を指摘し、総務省、個人情報保護委員会への早急な働きかけを求めた。省は「当省は同法を所管していない。現時点で見解を示すことは困難」としたが、「識別情報の摘示」については「個人情報との関係でどのような対応ができるか検討したい」と語った。

 自治体の部落差別解消のとりくみの格差については、国と自治体が連携するモデル地区づくりを前回の交渉に続き、追及。また、包括的差別禁止法や救済法への見解も求めた。

 省からは人権擁護局の江口幹太・総務課長、齊藤雄一・調査救済課長、三宅義寛・人権啓発課長、川副万代・参事官らが出席した。

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