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「部落探訪」など削除を 〜差別扇動許さずと新潟訴訟
新潟

「解放新聞」(2024.02.15-3092)

記者会見で、原告として立ち上がった思いと闘い抜く決意を語る長谷川サナエ・原告団長(1月24日・新潟市)

記者会見で、原告として立ち上がった思いと闘い抜く決意を語る長谷川サナエ・原告団長(1月24日・新潟市)

 【新潟】 「全国部落調査」復刻版出版事件裁判の被告Mが、自分で管理運営する示現舎のホームページなどを使ってインターネット上に記事・写真や動画で被差別部落をさらす「部落探訪」(現「曲輪クエスト」)などの差別扇動にたいし、大阪、埼玉に続き、新潟では削除と損害賠償を求めて1月24日、新潟地裁に提訴した(3091号既報)。

 訴状提出にあたり、新潟県連は同日午前、新潟市内の新潟地裁横で激励集会をひらき、雪交じりの冷たい風のなか、県内外から60人が結集。完全勝利へ闘い抜く決意と団結を固めた。「差別助長する「部落探訪」を削除せよ!許さないぞ!鳥取ループの差別拡散!」という横断幕を先頭に掲げて隊列を組み、原告、弁護団を地裁へと送り出した。

 かけつけたのは、県連の同盟員、前日の1月23日夜に結成した支援する会の仲間をはじめ、中央本部の片岡副委員長、関東ブロックの都県連の代表など。

 長谷川均・県連委員長は「厳しい差別の現実のなか、新潟では女性2人も原告として立ちあがっていただいている。新潟県連も先頭に立ち頑張る」と決意表明。中央本部の片岡副委員長も「中央本部、関東ブロックも全面的に応援し一緒に頑張る」と表明。弁護団報告と長谷川サナエ・原告団長の決意表明に続き、村井良一・支援する会共同代表、山本喜一・長野県連委員長、深田広明・群馬県連事務局長、根本信一・神奈川県連委員長、藤本忠義・前東京都連委員長が連帯と激励のあいさつをし、齋藤悦男・支援する会共同代表の音頭で団結を固めた。

訴状の提出にあたり、新潟地裁の横で激励集会をひらいて、県内外から60人が結集、勝利への闘いを誓い合った(1月24日・新潟市)

訴状の提出にあたり、新潟地裁の横で激励集会をひらいて、県内外から60人が結集、勝利への闘いを誓い合った(1月24日・新潟市)

「差別されない権利」を包括的差別禁止法へと

 記者会見は訴状提出後に裁判所構内の新潟県弁護士会館でひらいた。弁護団の河村健夫・団長、近藤正道・副団長、和田光弘・副団長、上野祐・事務局長と、個人原告3人を代表して長谷川原告団長、県連を代表して長谷川県連委員長が、メディアに訴えた。

 河村弁護団長は「部落探訪」などを野放しにすると、「差別されない権利」を認めた復刻版裁判控訴審の画期的判決が事実上骨抜きになる、私たちは「差別されない権利」をさらに実質化する、全国で反撃ののろしをあげていると語り、復刻版裁判いらいの経過と闘いの意義を語った。また、質疑応答のなか、Mの差別扇動にたいし、深刻な差別実態のなかから被害者が原告として民事訴訟を起こさねばならない現行法制度の不備を説き「差別されない権利」をふまえ、包括的な差別禁止法が必要と訴えた。

 裁判の概要と訴状の骨子は、上野弁護団事務局長が報告。個人や会社の実名がさらされ、また、県連が誹謗中傷された被害の特徴と、少数型の部落が多く「部落隠し」「差別隠し」の差別行政に神林村裁判の勝利もあったが、行政施策が遅れている実態を説き、「差別、攻撃をおそれて原告に名乗り出られなかった方が多い。しかしMの行為の放置は差別の継続、拡大。防ぎ、禁止するため、県連は原告になり原告に加われなかった方々の記事も削除を強く求めている」と語った。

 長谷川原告団長は、子や孫の時代には差別をなくすと解放運動に立ちあがり、40年間以上も活動してきたが「今回、子どもや孫が立ちあがらなければならない状況ではないか」と事件の深刻さを強調。個人名や会社名までもインターネットにさらしたMの差別行為にたいし、従業員一丸となって学習会をしたことも報告し「きょうは78歳の誕生日。80歳を前にしての闘いだ。精いっぱい頑張る」と決意を語り、支援を訴えた。

 長谷川県連委員長は、Mの差別扇動には県内全30市町村が削除要請しており、15回以上要請した自治体もあること、首長みずからが地方法務局支局に出向く要請行動も多数と報告。同和行政が遅れた新潟の部落の厳しい生活実態が、Mの差別拡散行為でいっそう悪化している現実と、Mにさらされている福島県など東北の部落の人たちの苦悩も訴え「差別は絶対に許さない立場で総力をあげて頑張り抜く」と表明した。

人間の尊厳を守る闘い完全勝利判決へ前進を

 「「部落探訪」削除裁判新潟訴訟を支援する会」の結成総会は提訴前日の23日夜、新潟市内の新潟ユニゾンプラザでひらかれ、80人が参加。差別の確信犯ともいうべきMの悪質性と新潟訴訟の意義を確認し、広報、傍聴、財政の専門部会を盛り込んだ規約と6人の共同代表をはじめとした役員体制を決め、完全勝利を誓い、団結を固めた。

 開会にあたり準備会世話人を代表し、村井良一・部落解放・人権政策確立要求新潟県実行委会長は「大阪、埼玉に続き、新潟の地からも差別されない権利を求めて提訴する。いよいよ新潟からも人間の尊厳を守る闘いが始まった。関係団体や機関、自治体、思いを持つ個人が連帯し、裁判を支援し、完全勝利判決を求めて前進しよう」とよびかけた。

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