「解放新聞」(2025.0625-3142)
農林水産省交渉を5月22日、省内でおこない、中央農林漁業運動部の池田清郎・部長、細田勉・副部長ら10府県から14人が参加。農水省からは、経営局経営政策課担い手総合対策室経営推進第2係長らが参加した。
開会にあたり池田部長は「現在、コメの価格高騰をめぐる問題があるが、生産者や消費者の状況や声に向き合えというのが本質的な問題だ。これまでの協議のなかで、被差別部落の農村地域が置かれている現状や歴史的経緯、今日にいたるまで続く課題等を問題提起してきた。そういった現場の現状や声をふまえながら、政策にとりくんでほしい」とあいさつした。
交渉では、「部落差別解消推進法」制定をふまえた農水省としてのとりくみ、とくに農水省職員への人権啓発研修のほか、部落をはじめとする小規模零細農家への支援、「地域計画」策定などについて見解や説明、対策を求めた。
農水省職員への人権啓発研修について、同盟は、部落差別を理解したうえでないと部落の農家が置かれている現状や抱えている課題が理解されないとして、研修内容の説明や職員の参加率把握などを求めてきた。農水省は、従来どおり任意参加であり参加率の把握はおこなっていないとしたが、「推進法」第6条にもとづく調査結果、「同和対策審議会答申」、部落の農村について執筆された論文などを資料として使用しているなど、同盟側が求めてきた内容が一部取り入れられたほか、法務省のYouTubeチャンネルの人権啓発ビデオの、「同和問題」や「インターネットと人権」など八つの分野について視聴を実施していると回答があった。
「地域計画」策定については、2023年4月に改定された「農業経営基盤強化促進法」の施行によって、地域における農地集約化や生産性向上などを目的に、おおむね10年後を見据え、農業従事者や土地所有者、自治体などの関係者で協議し、今年4月までに「地域計画」の策定が求められていた。耕作放棄地対策や営農の維持・発展のためという趣旨は一定程度理解する一方で、とくに部落をはじめとする小規模零細農家では、高齢化や担い手・後継者不足が深刻な状況があり、「地域計画」の策定ができない地域・自治体があることや、「地域計画」が策定できないと利用できなくなる事業があることなど、実態とかけ離れた政策だと追及。また、土地の売買時にトラブルが発生する事案なども報告されており、各地の実態を把握しながら、継続して協議していくこととなった。
小規模零細農家への支援・対策事業が実態にそくしたものなのか、部落差別の経過・実態を含め現状を把握したうえで、厳しい条件下でも農業を続けていきたい、という現場の声にこたえる支援をと強く訴えた。
「解放新聞」購読の申し込み先
解放新聞社 大阪市港区波除4丁目1-37 TEL 06-6581-8516/FAX 06-6581-8517
定 価:1部 8頁 115円/特別号(年1回 12頁 180円)
年ぎめ:1部(月3回発行)4320円(含特別号/送料別)
送 料: 年 1554円(1部購読の場合)