「解放新聞」(2025.08.25-3148)
【福井】県と県内市町との意見交換会を7月24日午後、敦賀市内の嶺南振興局敦賀合同庁舎でひらいた。福井県連からは山下敬太郎・委員長、河合徹・書記長など3人、中央本部からは髙橋、大西両中執、北陸事務所からも参加があった。
県からは、大南祐之・地域福祉課長、大西典宏・人権室長、志尾武章・生涯学習・文化財課長と、高浜町など嶺南地域の6市町の県市町村人権教育・啓発連絡協議会の担当者などが出席した。
意見交換会であいさつした山下委員長は「インターネットのモニタリングのとりくみや本人通知制度の導入をはじめ、この間に課題としてきた「人権条例」制定に向けた検討など、差別の実態にもとづいた、より具体的な施策をすすめてもらいたい」と要望した。
市町からそれぞれ実施状況について報告があり、モニタリングは4市町が役場や隣保館などで実施。いずれも部落差別を扇動助長する書き込みは発見されていないと報告されたが、実施内容や体制などについて、出席した職員が十分に把握できていない市町もあった。また、モニタリング導入以降、県からはこれまで53件の差別書き込み削除依頼を法務省・局に要請、そのうち削除されたのは27件と報告された。髙橋中執は、周辺の自治体と連携をとってモニタリングを実施するなど、より効果的なとりくみをすすめる工夫の検討などを要請した。
本人通知制度の運用状況報告にたいし、山下委員長は、高浜町以外の自治体では被害告知型制度だが、制度の効果を発揮していないと指摘。不正取得の抑止力になる制度であることを職員間で共有しながら、登録型の導入をすすめてもらいたいと要望。髙橋中執も、被害告知型では不正取得事件にならなければ住民に通知されないと指摘。全国的に不正取得がおこなわれている現状のなか、市民啓発の側面からも制度見直しが必要と強調した。大西中執も、県のリーダーシップで高浜町で導入されている事前登録型制度を県内に広げてもらいたいと求めた。
2022年に県が実施した「人権問題に関する県民意識調査」についても、5月におこなった嶺北地域の市町との意見交換をふまえ、県が各自治体に結果を共有。同盟から、結果をしっかりと分析し、「人権条例」の制定など、人権施策推進に生かすとりくみが必要であると強く指摘。
敦賀市からは2023年の市独自の市民意識調査の結果を今後の施策に反映させていくことが報告されたほか、高浜町からも「人権条例」にもとづく「基本計画」を来年度改正するにあたり調査結果を生かしていきたいとの回答。大飯町からは、これまで「地域福祉計画」や「男女共同参画基本計画」の策定にあたってアンケート調査を実施してきた経過が報告された。
意見交換会のまとめとして、山下委員長は、これまで県内で発生した部落差別事件をふまえるとともに、高浜町などのとりくみも共有し、人権尊重の市町の姿勢を住民に示すためにも「人権条例」の制定に向けた具体的な協議をすすめてもらいたいと訴えた。
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