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主張

 

各地の実践をもちより、宮崎全研で大いに論議を重ねよう

「解放新聞」(2025.10.25-3154)

 戦後80年を迎えた今年、全国で反戦・平和、核兵器廃絶を求める集会行事や、戦没者の追悼などがさまざまにとりくまれてきた。しかし、二度と戦争を起こさない、という私たちの願いとは裏腹に、私たちが住む同じ地球上で、いまこの瞬間にも戦争によって尊い人命が失われつづけている。そして戦争への道、差別・排外主義が世界の各地で台頭しつつある。先般の参議院選挙では、日本でもそうした傾向が顕著になった。こうした流れにどのように歯止めをかけることができるのか。

分科会では部落史から今日的課題まで幅広いテーマで報告を受け実践を交流する(写真は第57回全研、2024年11月20日・神戸市)

分科会では部落史から今日的課題まで幅広いテーマで報告を受け実践を交流する(写真は第57回全研、2024年11月20日・神戸市)

 今年3月11日、石川一雄さんが死去した。狭山事件が発生して62年。部落差別にもとづくえん罪事件として、多くの同盟員や活動家が生涯を通じて闘いつづけた狭山闘争だが、無念にも石川さんの生前にえん罪を晴らすことはできなかった。私たちは、石川早智子さんを先頭に第4次再審闘争に歩みだした。再審開始を求めると同時に「再審法」改正の世論を盛りあげ、多くのえん罪事件を闘うとりくみと連帯して、石川さんの再審無罪をかちとらなければならない。

 私たちは、復刻版「全国部落調査」の削除裁判で、「差別されない権利」を認めた高裁判決を引き出し、今後の運動の大きな橋頭堡(きょうとうほ)を得た。そしてつづく課題は、現在3か所で提訴している「部落探訪」削除裁判の勝利と、施行された「情報流通プラットフォーム対処法」の実効性および効果的運用の確保である。私たちは、インターネット上に放置されている差別情報のすみやかな削除のため、各自治体によるモニタリングを拡大し、すべての差別動画・記事にたいして削除申請を突きつけることが重要である。

 これら山積する課題を前に、部落解放同盟を中心に、11月10、11日の2日間、宮崎市のシーガイアコンベンションセンターで部落解放研究第58回全国集会をひらく。

 集会テーマは「戦後80年をむかえ、「平和」・「人権」・「いのち」を守る包括的な人権の法制度を確立しよう」。現下の厳しい情勢を読み解き、私たちが何をすべきかを明らかにする集会をめざし、準備をすすめている。多くの同盟員、共闘、関係団体のみなさんが目的意識をもって参加し、実りある研究集会となることを願うものである。

 全体会は、記念講演として「戦後80年―沖縄から考える日本の平和と人権」と題して、沖縄県生まれの大学生、崎浜空音さんにお話しいただく。「戦後とは何か、私たちウチナーンチュにとって、戦後はあったのか、そしてもしかしていまが戦前ではないのか」という崎浜さんの問いかけを私たちは受け止め、南西諸島を含む軍備強化を止めなければならない。

 分科会では、部落問題・人権問題、部落解放行政・人権行政、同和教育・人権教育、人権啓発、狭山事件の再審とえん罪防止、インターネット上の差別情報や就職差別、などについて報告や提起を受ける。

 こうしたさまざまな課題を明らかにする第58回宮崎全研に、全国から参加しよう。地域や職場での実践を交流し、部落解放・人権確立に向けた議論を深め、新たな部落解放運動の展望をきりひらこう。

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