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狭山新100万人署名と「再審法」改正の請願署名に全力で

「解放新聞」(2026.3.25-3170)

 2月26日、狭山事件第4次再審請求の3回目の三者協議がおこなわれた。東京高裁第4刑事部の家令和典・裁判長と主任裁判官、東京高等検察庁の担当検察官3人、弁護団からは竹下事務局長をはじめ10人の弁護人が出席した。この日の三者協議で、裁判所から裁判長が代わることが告げられ、新裁判長に弁護団がプレゼンテーションをおこなう方向で、その日程調整などのための打ち合わせを次回おこなうことが決まった。次回の三者協議は5月中旬におこなわれる。

 希望の光が見えはじめた矢先に石川一雄さんが急逝して1年を迎える。石川一雄さんの無念を絶対に忘れてはならない。なんとしても石川一雄さんの再審無罪判決を実現し、えん罪を晴らすために、遺志を継いだ石川早智子さんによる第4次再審を全力で支援することをあらためて確認したい。そして、今後、新たな裁判官のもとで、なんとしても鑑定人の証人尋問の実施、再審開始が実現するように、各地で、狭山第4次再審闘争勝利に向けて集会や街頭宣伝などにとりくみ、「石川一雄さんは無実だ! 63年におよぶえん罪・狭山事件の再審開始を!」との世論をさらに大きくしよう。

 再審無罪を求める市民の声を東京高裁第4刑事部に届けるために、証人尋問の実施、再審開始を求めて、さらに新100万人署名運動を全力ですすめよう。

 第4次再審請求で、証人尋問の実施と再審開始を求める新100万人署名は、昨年5月、10月、今年2月に東京高裁第4刑事部に提出された。これまで全国から寄せられ、提出された署名は42万筆を超える。署名提出、要請行動をおこなった狭山事件の再審を求める市民の会の鎌田慧さん、落合恵子さん、佐高信さんは、62年もの間、無実を叫びつづけた石川一雄さんとその遺志を継いだ石川早智子さんの思いを受けとめ、この市民の声に真摯に応えて、すみやかに証人尋問を実施し、再審を開始してほしいと訴えた。

 鑑定人の証人尋問の実施はまだ決まっていない。ひきつづき署名運動を継続・拡大し、新たな裁判長にさらに署名を提出し、証人尋問と再審開始を求めよう。

 2月の第3回三者協議で検察官は、意見書の提出はこれまで言ってきたように3月31日になる、とのべた。この意見書は、昨年4月4日に石川早智子さんが弁護団とともに申し立てた第4次再審請求について、「刑事訴訟規則」286条にもとづいて裁判所が昨年6月の第1回三者協議で求めたものである。弁護団は、第4次再審請求は第3次再審請求と同一証拠、同一主張であるとして、すみやかな意見書提出を求めたが、検察官は年度末までかかるとしたのだ。現在、東京高検で狭山事件を担当する検察官のうち一人は2020年から22年までを担当し、第3次再審請求で、いくつも反論の意見書を作成してきた検察官である。22年に「刑訴規則」286条にもとづく意見書として300\_v㌻あまりの意見書を提出したときの検察官である。もう一人の検察官は、一昨年4月から担当し、弁護団が家令裁判長らにたいしておこなったプレゼンテーションにも出席し、その後、万年筆インクなどについて意見書を作成、提出してきた検察官である。第4次再審請求で初めて狭山事件を担当したわけではない。もっと早く意見書を提出できたはずではないか。この間の検察官の対応は、明らかに裁判長の退官を見据えて、不当に引き延ばしをはかったものと言わざるを得ない。検察官は、弁護団の証拠開示請求にたいしても、「新証拠が提出されていない」「新証拠との関連性が明らかでない」などと一方的に言いがかりをつけて、「証拠開示に応じる必要はない」と拒否してきた。証拠の存否を明らかにする必要もないとさえ主張し、不誠実な対応に終始してきた。検察官のこうした再審妨害を強く批判する。

 再審で無罪となった袴田事件では、静岡地裁が再審開始を決定したにもかかわらず、検察官の抗告によって再審開始が確定するまでに9年、無罪判決までに事件発生から58年もかかった。これを受けて、現在の再審手続きについての法の不備が指摘され、超党派の「えん罪被害者のための再審法改正を早期に実現する議員連盟」が結成された。議連は、えん罪当事者や弁護士、元裁判官などのヒアリングなどをおこない、①請求人側の請求があれば、裁判所は相当と認めるときには検察官に証拠開示を命じなければならない②裁判所が再審を開始した場合に検察の不服申し立てを禁止する、などを柱とする改正案をまとめた。この法案は議員立法として、昨年6月に衆議院に提出されたが、先般の衆議院解散によって廃案となった。

 一方、昨年3月28日、これまで「再審法」改正は必要ないとしてきた法務省が、法制審議会に「再審法」改正について諮問、法制審議会の刑事法(再審関係)部会が4月から始まった。委員のほとんどは法務省が選任した法務・検察寄りの委員が占め、法務省がとりまとめた要綱案が今年2月2日に委員の多数決で採択され、2月12日に法務大臣に答申された。法務省当局による法改正の要綱案は、証拠開示も限定的であり、何よりも改正の最大のポイントであった検察官の不服申し立ての禁止は盛り込まれていない。さらに、申し立てられた段階で再審請求に理由がないと判断されれば、(証拠開示も事実調べもおこなわず)すみやかに棄却するという規定が盛り込まれた。えん罪被害者の訴えが門前払いされてしまう危険性がある。開示証拠の目的外使用を禁止する罰則規定も盛り込まれ、支援活動や無実の訴えに活用できなくなる。本来の「再審法」改正の目的であるえん罪被害者の迅速な救済という立法事実とかけ離れた「改悪」と言わざるを得ない。元裁判官63人が法制審の議論に反対し、真にえん罪救済のための「再審法」改正を国会に求める異例の共同声明を公表し、実質的には現行の手続きよりも、えん罪の救済が困難になる「改悪案」と言わざるを得ないとして、日弁連も反対する会長声明を出した。

 しかし、この法務当局の「改悪案」が、今後、自民党内での審査後、内閣提出法案として国会に提出されることになり、きわめて危険な状況になっている。このままでは、石川一雄さん自身も一昨年、日弁連の集会に参加するなどして訴えていた「再審法」改正とは程遠い改悪になってしまうのだ。石川早智子さんも、検察官の不服申し立ての禁止、制限のない証拠開示の義務化を盛り込んだ法改正を訴えている。狭山第4次再審闘争でも「再審法」改正は不可欠だ。一日も早く狭山事件の再審開始、無罪判決を実現するためにも、えん罪被害者の迅速な救済のための「再審法」改正を求める運動を狭山再審実現と両輪ですすめなければならない。

 先日、日野町事件で最高裁が検察官の特別抗告を棄却し、再審開始が確定した。検察官の不服申し立てによって、大津地裁の再審開始決定から7年以上、大阪高裁の再審開始決定から3年もが費やされた。検察官の不服申し立ては絶対に禁止すべきだ。再審開始の決め手になった引当捜査の写真ネガが開示されたのは、阪原さんが再審請求してから11年後だった。その間に阪原さんは死去し、第1次再審請求は終了したのである。もっと早くに検察官が証拠開示していればと言わざるを得ない。えん罪被害者とその家族、弁護士、元裁判官、作家、ジャーナリスト、平和・人権運動の代表、宗教者などの幅広い各界の人たちのよびかけで「「再審法(刑事訴訟法の一部)」改正を求める請願署名」が始められた。この新たな署名運動に全力でとりくもう。(署名用紙はフロントページから

 「えん罪被害者のための再審法改正を早期に実現する議員連盟」は先日、議連総会をひらき、議連法案を再度国会に提出することを確認している。請願署名を集め、市民の声で国会議員を後押ししよう。法制審の「改悪案」ではなく、検察官の不服申し立ての禁止と制限のない証拠開示命令を柱とする議連法案による「再審法」改正の実現を求めて、国会議員への働きかけとともに、ひきつづき地方議会での意見書採択などのとりくみをすすめよう。

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