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主張

 

第69回全国女性集会の成功に向けて、
地域での女性部活動の成果と課題を交流しよう

「解放新聞」(2026.4.25-3173)

 世界経済フォーラム(WEF)が毎年発表している「ジェンダー・ギャップ(男女平等)指数」(2025年)の日本の順位は、148か国中118位で、前年と同じであった。とくに、政治分野の「国会議員の男女比」や「官僚の男女比」と、経済分野の「同一労働での賃金の男女格差」などで世界的にも低水準であることが明らかになっている。

 しかし、現代の日本社会では、政治の分野だけでなく、女性にたいする差別が厳然と存在している。性別による役割分担によって、育児や介護の時間は女性の方が圧倒的に多く、一方で、企業内での女性管理職の比率が低く、雇用分野での非正規雇用の多数が女性であるなど、女性の社会進出の促進に向けた具体的な男女間格差の実態は改善されないままである。

 この「ジェンダー・ギャップ指数」で16年連続世界一である北欧のアイスランドも、1970年代は家父長制が根強く存在し、女性は家事や育児に多くの時間をとられ、男女間格差も大きかった。では、どのようにして、現在のような男女平等の社会を実現してきたのだろうか。

 大きな契機は、国連女性の地位委員会(CSW)が女性の地位向上をめざして、1972年12月の国連総会で提議し、1975年を「国際女性年」としたことである。アイスランドの女性たちは、1975年の「国連の日」である10月24日に「女性の休日」として、家事も仕事も休むストライキを決行し、「女性がいないと社会が破綻する」ことを示した。国民全体の意識を変革する大きな転機をかちとったこのストライキには、女性の9割が参加するという歴史的な女性の行動として、ドキュメンタリー映画『女性の休日』も制作されている。

 この「女性の休日」のとりくみ以降、アイスランドでは、1980年に世界で初めて女性大統領が選ばれ、育児休業制度の充実、中規模以上の企業で役員構成を男女ともに4割以上にするクオータ制度の導入、同一賃金認証法の施行など、男女平等に向けた施策が施行されている。現在も、大統領、首相、そして首都であるレイキャビクの市長はすべて女性である。

 このように、日本でも、まずは、女性たちの切実な要求をふまえ、政府や国会議員が率先して、男女格差の解消に向けて、「女性差別撤廃条約」の具体化などに真剣にとりくむことが重要である。

 部落解放運動における女性部のとりくみでは、部落差別や女性差別、障害者差別、性的マイノリティなどにたいする差別撤廃に向けた闘いと、複合差別にもしっかりと視点を置いた活動が必要だ。

 2025年8月には「第6次男女共同参画基本計画策定に当たっての基本的な考え方」についての意見募集(パブリックコメント)にとりくんだ。しかし、これまで基本認識の文中には、「同和問題(部落差別)…」の文言が明記されていたにもかかわらず、今回、「様々な属性」という文言だけになっている。このような「基本的な考え方」の後退をふまえ、自治体段階での男女共同参画審議会委員の一般公募があれば積極的に応募するとともに、委員会のなかで部落女性をはじめ、マイノリティ女性の声をしっかりと反映させていくことが重要だ。

 さらに、選択的夫婦別姓制度の実現を求めるとりくみにたいして、高市政権は、旧姓の通称使用の法制化をめざしている。旧姓の通称使用は、1996年の法制審議会総会でも「制度として不徹底」「混乱を招く」とされていたものである。選択的夫婦別姓とは、同姓・別姓のいずれかを強制するのではなく、みずから決定する選択の自由を認め、とりわけ女性の人権と深く関わる課題であることを高市首相は理解していない。自分が自分であることや個人の尊厳を守るためにも、選択的夫婦別姓の実現をめざさなければならない。

 2024年4月に「困難な問題を抱える女性への支援に関する法律」(「困難女性支援法」)が施行され、都道府県における基本計画づくりにつづいて、市区町村においても基本計画づくりがすすめられている。基本計画に、部落女性をはじめマイノリティ女性の声を反映させていくとりくみをすすめていかなければならない。また、「旧優生保護法」によって強制された不妊手術の問題では、被害者への補償金を支給する法律が施行されて1月17日で1年になった。しかし、補償された人は一部にすぎない。今後も、国家賠償訴訟を支援し、国の責任の明確化と謝罪を求めていこう。

 ハンセン病家族訴訟でも、2019年6月に熊本地裁が国への損害賠償を命じたが、ひきつづき国の差別政策の誤りを明確にしていくために支援を強めていこう。そして、マイノリティ女性をはじめ、障害者、ハンセン病元患者とその家族にたいする差別・偏見のない社会の実現をめざさなければならない。

 さらに、朝鮮学校や幼稚園の無償化排除反対のとりくみ、日朝国交正常化や「慰安婦」問題の解決など、日朝・日韓友好連帯活動や日中友好運動にも積極的にとりくむ必要がある。また、沖縄・辺野古の米軍新基地建設の強行は沖縄だけの問題ではなく、日本社会における差別構造の問題であることをしっかりと捉え、反戦・平和に向けた共同闘争を積極的にすすめていこう。

 国際社会ではロシアによるウクライナ侵略戦争の長期化と、イスラエルによるパレスチナ自治区ガザ地区への戦闘の激化や、明確な国際法違反である米国とイスラエルによるイラン攻撃など、世界各地で軍事衝突がつづいており、対立と分断が深まっている。とくにEU諸国や英国では、移民排斥や民族対立などが激化しており、差別排外主義が大きく台頭している。

 日本でも、インターネット上での部落差別情報の拡散や、在日コリアンへのヘイトスピーチなど、日本に暮らす外国人への差別や偏見を公然と扇動する情報が拡散し、差別排外主義が強まっている。また、こうした差別や偏見、暴力を扇動する勢力が、若い世代を中心に支持を拡大している危機的な状況にある。

 2月におこなわれた衆議院選挙では自民党と日本維新の会の与党で352議席という圧倒的勝利のもとで、高市第2次内閣が発足した。高市政権は、防衛費の増額をはじめ、日本維新の会との連立合意で「スパイ防止法」の成立や日本が輸出できる防衛装備品の制限を撤廃し、殺傷能力のある武器輸出をおこなおうと、これまで以上に改悪策動を強め「戦争をする国」づくりをすすめようとしている。戦争は最大の人権侵害である。国内外で差別排外主義が強まっているなか、部落解放運動の果たす役割は、ますます重要である。いっさいの差別を許すことなく、部落解放・人権政策の確立に向けてとりくみを強化していかなければならない。

 また、官僚のセクハラ発言や、国会議員による部落差別発言をはじめ、女性や性的マイノリティ当事者にたいする差別発言がこれまでもくり返されてきた。女性差別発言などの背景には、性別による固定的な役割分業意識が根強くある。日常的な研修や学習を深めるなかで、女性にたいする差別意識、日常生活やメディアのなかに存在するジェンダーなどに気づき、身近なところから制度や慣習について見直すことができるような「ジェンダーにとらわれない意識」を積極的に形成し、自由に生きられる社会にしていくことが重要だ。

 5月9、10日に大分県別府市でひらく第69回全国女性集会では、実践交流と討議を通じて、部落解放運動だけではなく、さまざまな差別と闘う国内外の女性たちと反差別・反貧困のネットワークをつくりながら、差別と戦争に反対する闘いを強化しよう。

 女性たちの闘いによって、女性をとりまく情況は大きく変化してきている。大きく前進したとりくみもあるが、根強い家父長制の問題など、まだまだ残された課題も多い。女性差別をはじめあらゆる差別を許さず、ジェンダーによって役割を強制されたり、生き方を制限されたりすることのない社会の実現に向けて、部落女性の力を総結集して、第69回全国女性集会を成功させよう。

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