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部落解放研究第59回全国集会の成功に向け、多くの結集を

「解放新聞」(2026.9.15-3187)

 本年10月19、20日の2日間にわたって、広島県福山市のふくやま芸術文化ホール・リーデンローズを主会場に、部落解放研究第59回全国集会をひらく。

 いま、世界はいくつもの困難な課題に直面している。

 2022年から始まったロシアのウクライナへの軍事侵攻はいまだ収束せず、イスラエルとイスラム組織・ハマスとの軍事衝突、米国のイランにたいする攻撃などがつぎつぎと起こり、女性や子ども、高齢者をはじめ多くの一般市民が犠牲となっている。核保有国の直接の衝突はなんとか避けられているが、現在の状況を「第3次世界大戦の初期段階」と分析する識者もいる。

 そして、こうした状況を反映して、他民族を排除する、差別排外主義が徐々に勢力を増してきている。戦争における殺人行為は、相手にたいする憎悪なしでは成立し難い。戦争は最大の差別であるという言葉のとおり、反差別・人権が戦争防止のためのとりくみの重要なテーマであることを自覚しなければならない。

 こうしたなか、国際刑事裁判所(ICC)の赤根智子・所長が、トランプ大統領によって制裁対象とされたことが報道された。2024年11月、ICCはイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相とヨアヴ・ガラント前国防大臣にたいし、飢餓という戦争犯罪と、殺人、迫害、その他の〝非人道的行為〟という人道にたいする罪で逮捕状を発行したが、今回のトランプ大統領の制裁は、これにたいする報復措置である。日本はこの事態にどう対峙するのか、日本政府がトランプ政権に追従するばかりではなく、国際司法における「法の支配」を擁護することができるのかが問われている。そしてこの制裁措置が、個人にたいしてのみならず、ICCの存立自体を脅かすものである。日本人初のICC所長である赤根智子さんへのバックアップを表明している日本政府は、これまでのところトランプの制裁措置にたいして「残念」であると表明しているだけである一方、超党派の「人権外交を超党派で考える議員連盟」はトランプ政権にたいする非難声明をまとめ、木原官房長官も赤根さんにたいして必要な支援をおこなうとしている。

 トランプやプーチンのきわめて恣意的な言動によって、「世界秩序」は崩れつつある。国際社会の「法の支配」のために、日本の私たちに何ができるのかが問われている。

 さてこうしたなか、本研究集会テーマは、「崩れゆく世界秩序に抗して、差別と戦争を許さず……」である。今回は広島開催であることから、原水爆禁止広島県協議会代表委員の金子哲夫さんに記念講演をお願いし、「ヒロシマにおける原水禁運動の歩みと現在」(仮)について講演をいただく。

 集会内容から少しそれるが、気候変動問題にも触れておきたい。

 気候変動問題では、この間の主要国の二酸化炭素(CO2)削減がすすまず、気温上昇に歯止めが可能なティッピングポイント(転換点)を越えてしまった、という研究者も少なからず出てきている。そのため、これ以降は災害被害の甚大化への対応とともに、気温上昇を少しでもスローダウンさせるための方策に追われつづけることになるという。

 人権との関連でいえば、気候変動問題に関する不公平を語るために「気候正義」という言葉がある。CO2を多く、長い期間にわたって排出してきたのはいわゆる「先進国」であるのに、気候変動の被害を真っ先に被るのは、排出量の少ないグローバルサウスの国々である。すでに温暖化による海水面の上昇によって、国外への避難を始めている洋上の小国がいくつか現れている。さらに環境汚染については、環境汚染施設等がマイノリティや先住民の居住地近くに置かれるなどの差別的政策がおこなわれてきた。また、気候変動の影響をより多く受けるのは、CO2を排出したわれわれの世代ではなく、未来の世代であるという不公平もある。加えて現在の戦争によって生じているCO2は、「パリ協定」の達成目標とは無関係とされていることの理不尽さもふまえておきたい。

 現在、私たちがとりくんでいるインターネット上の部落差別については、それへの法的対応について、実際の訴訟にあたっていただいている中井雅人・弁護士(第5分科会)、条例制定による対処については、兵庫県行政(第2分科会)から報告がおこなわれる。

 また、これと関連して、今年、法の施行から10年を迎える「部落差別解消推進法」について、法的規制と実効性の強化に向けた改正案が、赤井中央書記長から紹介される(第1分科会)。

 また、「部落差別解消推進法」の実効性の弱さを補強する意味で、全国各地で条例の制定がとりくまれているが、これらの事例については第2分科会で報告がおこなわれる。

 狭山闘争は石川一雄さんの死去を受け、その遺志を遂げるために石川早智子さんを申立人として第4次再審闘争が始まった。第4分科会では石川早智子さんのアピール、狭山再審弁護団の竹下政行・事務局長による現状の報告がおこなわれる。司法改革については湖東記念病院えん罪事件の井戸謙一・弁護団長などの報告を受ける。

 地元広島からは広島県朝鮮人被爆者協議会の金鎮湖・会長の講演(第1分科会)、広島県の子どもの生活実態調査に関する報告を山下真澄・広島県連顧問(第3分科会)、平和教育の課題について広島県教職員組合の森崎賢司・書記長の報告(第3分科会)、宗教における部落差別の課題について、岡田英治・広島県連顧問の報告(第5分科会)が準備されている。

 現在、10月19、20日の開催を前に、地元広島県連にお世話をかけながら、集会成功に向けた準備がすすめられている。さまざまな困難に直面しているいまこそ、危機の本質と打開の方向についての十分な議論が必要である。集会成功に向け、多くのみなさんの結集を求めたい。

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