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「同宗連」の歩みと宗教者への期待
〜いまある部落差別の現実と向き合い、差別撤廃のとりくみを

「解放新聞」(2018.05.21 -2859)

 『同和問題』にとりくむ宗教教団連帯会議(「同宗連」)第38回総会が4月に東京都内で開催された。

 総会での議長報告では、「部落差別解消推進法」の制定をふまえ、部落差別問題の学びを中心に、狭山事件の再審を求める活動をはじめ、アイヌ民族にたいする差別実態に関する研修など、幅広い差別問題・人権問題へのとりくみがすすめられていることが説明され、さらに宗教教団(者)として、多様化し、複雑化する差別問題・人権問題に真剣に向き合い、学びを深めて行動に結びつけていくことがよびかけられた。

 「天のこえ、地のこえを別のものとして、われわれ宗教者は、神の栄光を讃え、ほとけの徳を語り、まことの道は天に通ずとのみつたえきった。・・・いま、われら、ここにあらためて、大地に立ち、一切の差別を許さない厳しい姿勢を律しつつ、相携えて、あらたな宗教者たらんことを宣言する」。この「宣言」は「同宗連」結成に先立つ1981年3月に開催された「同和問題にとりくむ全国宗教者結集者集会」で採択されたものである。「同宗連」の「規約前文」によれば、この集会で、「われわれ宗教者・およびわれわれ宗教教団は結集を求めるよびかけ文の精神、すなわちわれわれは、深き反省の上に立ち、教えの根源にたちかえり、同和問題の解決への取り組みなくしては、もやは宗教者たりえないことを厳粛な事実として、深く認識するにいたった」とあり、まさしく、「同宗連」結成の出発点となったものである。

 爾来、「同宗連」は、教義や教団の成り立ちなどの違いを相互に認め合い、さらにそれぞれの教団の主体性を尊重しながら活動をすすめ、宗教界全体の差別問題・人権問題のとりくみにも大きく貢献してきた。

 「同宗連」は、1979年に米国・プリンストンで開催された第3回世界宗教者平和会議における差別発言にたいする糾弾会のとりくみを契機に結成された。そこには、「宣言」や「規約前文」にあるように、ここにいたるまでの、それまでの各教団における部落問題へのとりくみの弱さを反省し、部落問題解決と人権確立に果たす宗教教団(者)の使命と役割を自覚し、行動することこそが、宗教教団(者)としての共通の認識となっているのである。

 しかしながら、1981年の「同宗連」の結成後も、それぞれの教団では差別事件がおこり、あらためて教団の差別体質の克服や部落問題・人権問題研修体制の充実などが求められてきた。もちろん、とりくみの深まりのなかで、これまで自覚されてこなかった差別への気づきもあり、そうした成果の積み重ねが教団の活動をさらに充実させてきた積極面もあった。また、部落問題だけでなく、障害者や女性、ハンセン病元患者など、さまざまな差別問題・人権問題へのとりくみの拡がりがすすみ、それぞれの教団の人権問題にかかわる組織的な整備もすすんできたといえる。

 一方、社会問題にたいする本来の宗教教団(者)のありようと切り離し、消極的な姿勢や反発、対策的な対応などによって、差別と真剣に向き合うことを避ける傾向もみられるようになってきた。とくに、この間の多くの仏教教団での「過去帳」開示問題については、教団の「過去帳」にたいする、これまでのとりくみが、それぞれの寺院(僧侶)に、しっかりとした受け止めとなっているのかが、大きな課題となってきた。

 これまで、差別戒名(法名)や「過去帳」での「革門・革尼」や「畜男・畜女」などの差別添え書き、記載については、今日においても、各仏教教団で積極的に改正作業がすすめられており、同時に「過去帳」の閲覧禁止措置もとられてきた。しかし、こうしたとりくみが成果をあげているなかで、改正作業のもつ意味や差別身元調査に利用されてきた「過去帳」の果たしてきた差別的な役割が、寺院(僧侶)に十分に理解されてきただろうか。

 これまでの「過去帳」開示問題では、多くの場合、テレビや新聞などのメディアからの取材依頼によって、歴史的な資料だからという、寺院側の判断で開示されている。これでは、いままでの「過去帳」にかかわる研修や学習の内実、成果が厳しく問われることはいうまでもない。

 部落差別撤廃に向けて宗教教団(者)が果たす役割にたいするわれわれの期待は大きい。それは、多くの宗教教団(者)が、今日より深刻化している格差社会、無縁社会と称される現代社会のなかで、人権や平等、平和を希求するという本来の人間としてのありよう、差別からの解放をめざしているところにある。しかし、それはいまある差別の現実と向き合うことであり、永遠の悲願、理想とする社会のなかに見いだすものであってはならない。

 「過去帳」開示問題を契機に、この間とりくんできた浄土真宗本願寺派(西本願寺)との教学に関する学習会では、教典にある「旃陀羅」問題をどのように受けとめるのかが課題になってきた。「回答書」をふまえた協議では、「旃陀羅」問題にたいする西本願寺の今日的な受けとめは不十分であり、たんなる解釈ではなく、教学的・宗教的な検討をふまえた見解を期待したいと最終的な課題を整理した。そのためにも、教団全体での「旃陀羅」問題の学びと、それに向けたテキスト作成、真宗教団や全日本仏教会への拡がり、部落解放同盟との連携など、学習会で示された今後の実践課題を着実にすすめ、そのとりくみのなかでの成果と課題をともに点検していくことが確認された。

 われわれも、広島県連がすすめている「同朋三者懇」などの先進的とりくみからの学習を深め、仏教教団に限らず、「同宗連」の結成がそうであったように、宗教教団(者)にとって、差別の現実から出発し、差別と向き合うことによってしか、それまでの差別を容認し、そうした社会意識に埋没してきた宗教教団(者)の変革が可能になるはずがない、という問いかけを続けていかなければならない。


 

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