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部落解放同盟ガイド
見解

 

5.23集会アピール

 50年前のきょう、24歳の石川一雄さんは寝込みをおそわれ逮捕された。証拠もない別件逮捕だったが、警察は女子高校生殺害の取調べをおこなった。弁護士や家族との接見を禁止し手錠をかけたままの厳しい取調べが何日も続いた。部落に対する差別意識、差別報道が冤罪の背景にあった。50年前、狭山警察署で石川さんが書かされた上申書が3年前にようやく検察官から証拠開示された。石川さんは「わたしのやったことではない」と無実を訴えていた。学校にも行けず働いていた石川さんは、字が書けないから脅迫状など書いていないとくりかえし訴えた。しかし、警察は、無実を叫ぶ石川さんに兄を逮捕すると言ってウソの自白に追い込んだ。それ以来、石川さんは半世紀も無実を叫び闘いつづけている。わたしたちは50年前の冤罪の真相をふりかえり原点にかえって、決意あらたに狭山再審実現にむけた運動をすすめねばならない。

狭山第3次再審の闘いは大きく動いている。この間の三者協議で弁護団が求めた129点の証拠が開示された。開示された逮捕当日の上申書と脅迫状の筆跡の違いは一目瞭然だ。石川さんが脅迫状を書いていないとする筆跡鑑定書があらたに5通提出されている。開示された捜査報告書や取調べ録音テープによって石川さんの自白の疑問、捜査の問題も浮びあがった。犯行現場に血痕はなく、証拠物に石川さんの指紋がないことなど、自白に頼った冤罪の構造がつぎつぎ暴かれた。自白通り発見されたとして有罪証拠となった腕時計が被害者のものではないことも専門家の鑑定で明らかになった。証拠開示と科学的鑑定によって石川さんの無実はますます明白になっている。

狭山事件の第3次再審請求を審理する東京高裁第4刑事部の裁判長が3月に交代したが、証拠開示を促す姿勢はひきつがれた。今後、河合健司裁判長とあらたな担当裁判官が弁護団の求める証拠開示と事実調べを検討する。事実調べ・再審開始を実現し、50年目の冤罪を晴らす闘いは最大のヤマ場をむかえる。

足利事件、布川事件、東電社員殺害事件とあいついだ再審無罪の教訓は、検察官手持ち証拠の開示が重要であり、鑑定人の尋問などの事実調べが不可欠だということである。裁判所も証拠開示を促している。検察官は番号が抜けている未開示の証拠物、手拭い捜査資料など弁護団が求める証拠をすみやかに開示すべきである。事件発生から半世紀、これ以上の証拠隠しは許されない。

東京高裁の河合裁判長は、再審制度の理念とあいつぐ冤罪の教訓をふまえ、証拠開示を積極的にすすめ、Oさんの証人尋問、鑑定人の尋問や脅迫状筆記インクの科学的鑑定などの事実調べを一日も早くおこなうべきである。狭山事件では東京高裁の2審有罪判決以来38年以上も一度も事実調べがおこなわれていない。石川さんが冤罪を叫んで50年、東京高裁は一日も早く事実調べをおこない、再審を開始すべきである。

わたしたちは、狭山事件の第3次再審請求で、徹底した証拠開示と事実調べをおこない再審を開始するよう求める。そして、冤罪根絶にむけて、すべての冤罪者や支援者、司法の民主化を求める運動と連帯し、取調べ可視化や証拠開示の法制化を実現する闘いを全力ですすめる。半世紀に及ぶ石川一雄さんの無実の叫びをうけとめ、一日も早い狭山事件の再審を実現しよう!

2013年5月23日

狭山事件の再審を求める市民集会 参加者一同

 

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