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部落解放同盟ガイド
決議

 

部落解放同盟第70回全国大会宣言

 昨年の衆議院選挙結果は、部落差別撤廃、そして人権と平和の確立を希求するわれわれにとって、厳しい情況を生み出した。格差拡大社会のなかで、差別と貧困の問題は、ますます深刻化している。人間らしい生活を奪い、孤立を強いる、あからさまな差別がわれわれにふりかかっている。
  しかし、振り返ってみよう。90年におよぶわれわれの闘いは、いつの時代でも決して平坦な道を歩んできたわけではない。多くの先達の荊の道を歩み続けてきた苦闘が、部落解放運動を大きく前進させてきたのだ。われわれもまた、その道を歩み続けなければならない。
  人権の法制度、とくに人権侵害救済制度の確立は、なによりも急務の課題だ。これまでの闘いの到達点をしっかりと確認し、あらためて広範な闘いの陣形を再構築しよう。戸籍等不正取得による差別身元調査事件やインターネット上での差別情報の氾濫、水平社博物館への差別街宣など、確信犯的な差別事件が続発している。われわれは、差別糾弾闘争を断固として闘い抜き、差別を許さない人権確立社会の創造に向けてとりくみをすすめよう。
  狭山の闘いは、無実を訴えて半世紀をむかえる。今年こそ、再審を実現し、石川一雄さんの無罪をかちとろう。闘いはいまや大きく拡がっている。検察の証拠隠しを許さず、証拠開示と事実調べを実現するために闘いを強化しよう。さらに「人権のまちづくり」運動の推進や「人権教育・啓発推進法」を活用し、同和・人権教育や部落問題解決に向けた行政施策の推進、反差別国際連帯活動など、今日的な部落解放運動の課題にもとりくんでいかなければならない。
  また、本年の参議院選挙では、あらためて人権・平和・環境を軸にした政治の実現に向けた闘いをすすめよう。とくに、憲法改悪や軍事費の増大、社会保障費の削減などに反対し、脱原発の協働行動に積極的にとりくもう。東日本大震災の被災地の復興もすすんでいない。継続した支援活動が必要だ。社会連帯の実現に向けて被災地での支援活動を強化しよう。
  今日、荒廃し、閉塞化する社会のなかで、部落解放運動の果たす役割はますます重要になっている。厳しい差別に苦しんでいる多くのきょうだいのいのちと生活を守り、部落差別撤廃と人権の確立に向けた協働・連帯の闘いも大きく拡がりつつある。一方で、われわれの組織と運動の克服すべき課題は山積している。この間とりくんできた運動と組織の改革運動をいっそう推進することが求められている。すすむべき道は明確だ。われわれは、部落差別撤廃に向けた広範なとりくみをすすめるとともに、人権と平和の確立、環境問題を共通の課題としながら、広範な協働の闘いを強化していかなければならない。

 記憶せよ、きびしい差別と迫害に抗して闘い抜いてきた先達の苦闘を。
  聴け、呪われの夜の悪夢のうちにも、なお誇り得る人間の涸れずにあった正義の叫びを。

 われわれは、部落解放運動に誇りと自覚を持って、全国の兄弟姉妹によびかける。荊冠旗のもとに結集しよう。
  「人の世に熱あれ、人間に光あれ」と結ばれた「全国水平社創立宣言」の思想をあらためてわがものとし、部落解放―人間解放という崇高な使命の完遂に向けて力強く団結し、「よき日」に向けてともに奮闘しよう。

 右 宣言する。

2013年3月4日
部落解放同盟第70回全国大会

 

 

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