pagetop
 
 

 

 

 

<月刊「狭山差別裁判」297号/1998年9月>

東京高裁は事実調べをただちにおこなうとともに検察官にたいして証拠開示を勧告せよ!

狭山弁護団は、証拠開示について、近く東京高検の担当検察官との折衝をもち、衆議院法務委員会での北村議員の質問を受けて、とくに証拠リストの開示にむけて担当検事との具体的な協議を求める。
 証拠開示の問題については、日本政府は、一九九三年に国際人権<自由権>規約委員会から、証拠開示が保証されないないことについて是正の勧告を受けている。それにたいして日本政府は「証拠開示を受ける機会が保証されている」とする規約にもとづく定期報告を昨年六月国連に提出した。この日本政府の報告についての審査が、十月下旬からジュネーブで開かれる国際人権<自由権>規約委員会でおこなわれる。わたしたちは、狭山事件では、証拠開示が現実的に保証されていない実態を強く国際的な場でも訴える必要がある。東京高検がすみやかに証拠リストをはじめとする狭山事件の証拠開示の要求にこたえな
ければ、日本政府は実態を隠し、偽りの報告を国連に提出したことになると言わざるをえない。
 国際人権規約はそもそも世界人権宣言を条約化、具体化するものとして、一九六六年に国連総会で採択されたものであり、日本は一九七九年にこの規約に加入した。規約にもとづいて、その実施状況について五年ごとに国連に提出する定期報告において、実態に反する報告は重大な問題として、国際的に指摘されるであろう。世界人権宣言五〇周年のことし、国際的な人権基準にてらして、証拠開示が保証されていない日本の実態の問題を多くの市民も考えなければならない。
 わたしたちは、えん罪を教訓にし、証拠開示を検察官に義務づけるにいたったカナダの例について、アーロンソン弁護士の貴重な報告を思い起こすべきである。カナダでは、ネイティブ・カナディアンにたいするえん罪であったマーシャル事件についての州政府の調査委員会の報告・勧告にもとづいて、カナダ連邦最高裁が検察官に事前の証拠開示を義務づける判決を出し、証拠開示が確立したという。公正な裁判をおこない、正義を守るべき裁判所が検察官の不公正な姿勢を正して、証拠開示を命じたことはしごく当然であるといえよう。
 狭山弁護団は、東京高裁に証拠開示の勧告の要請、提出命令の申立てなどをくりかえしおこなってきた。東京高裁の高木裁判長は、いまこそこれら弁護団の証拠開示勧告の要求にこたえるべきである。事実調べ、すなわち再審請求人本人や弁護人の十分な意見を述べる機会とともに証拠開示を受ける機会が保証されてはじめて、公正な裁判をおこなったといえるはずである。
 第二次再審請求はまる十二年を経過した。いよいよ九月以降は最大のヤマ場である。なんとしても、この第二次再審で事実調べと証拠開示を実現するために、この九月からは毎週、東京高裁と東京高検にたいして要請行動をおこなっている。地元の埼玉でも独自に住民の会を中心に毎週要請をおこなっている。全国各地でも、狭山の新ビデオを活用した真相報告会や要請ハガキの運動を強化してほしい。全国の仲間が心を一つに狭山再審実現にむけて全力で取り組もう!さらに、地域で市民に狭山の真相を広げ、証拠開示と事実調べ-再審開始をかちとろう!


月刊狭山差別裁判題字

月刊「狭山差別裁判」の購読の申し込み先
狭山中央闘争本部 東京都中央区入船1−7−1 TEL 03-6280-3360/FAX 03-3551-6500
頒価 1部 300円