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<月刊「狭山差別裁判」313号/2000年1月>

東京高裁は鑑定人尋問などの事実調べをおこなえ! 
住民の会結成をすすめ棄却批判の市民の声を広げよう!

狭山弁護団は、三月末に、東京高裁第五刑事部に異議申立補充書を提出し、事実調べを求めるとともに、棄却決定を取消し、再審を開始するよう強く求めていく。わたしたちは、まず、高木裁判長による不当・デタラメな棄却決定の批判の声を徹底して広げ、春から夏にかけて最大限に異議審の闘いを盛り上げていく必要がある。
 免田事件では、第六次再審請求を熊本地裁八代支部が棄却したが、それに対する即時抗告審で福岡高裁は、争点となった傷のできた順序や血痕付着の問題について鑑定人尋問をおこなった。被害者の傷のできた順序が自白と矛盾することが弁護側の鑑定であきらかになっていたが、棄却決定は、検察官の意見書にのっかって、凶器とされた鉈で打撃をくわえたことを「興奮状態にあったから供述し忘れた」としていた。まさに、高木裁判長の棄却決定と同じように、客観的証拠と自白との矛盾を裁判官の勝手な推測でおぎない、ごまかしていたのである。福岡高裁は抗告審で、この点について、弁護側鑑定人の証人尋問をおこなった。さらに、自白で血のついた衣類を洗ったとされた川の存否についての検証をおこない、そのような川が存在しないことも判明したのであった。さらに、現場や凶器の指紋の鑑定結果の調査を検察官に問い合わせ、免田さんの指紋がないことが明らかにされたという。福岡高裁は、こうした事実調べをふまえて、自白の信用性を否定し、棄却決定を取り消し、再審を開始したのである。松山事件では、第二次再審請求において、仙台高裁が、再審制度の目的は「個々の裁判の事実認定の誤を是正し、有罪の言い渡しを受けた者を救済すること」であるとして、弁護団の意見を求めずに棄却した決定を取り消して、仙台地裁に差し戻し、再審開始への道が開いた。同じように、島田事件でも、第四次再審請求で静岡地裁の棄却決定を東京高裁が取り消して、静岡地裁に差し戻し、再審が開始されている。そして、いずれも、再審請求審で鑑定人尋問などの事実調べがおこなわれている。ところが、狭山事件では、筆跡鑑定、法医学鑑定など多数の専門家による鑑定が出されているにもかかわらず、確定判決以来二十五年以上もまったく事実調べがおこなわれていないのである。東京高裁第五刑事部・高橋省吾裁判長は、これまでの再審判例で示された再審の理念にしたがって、ただちに事実調べをおこない、狭山事件の再審を開始すべきである。
 わたしたちは、こうした再審をかちとた闘いの教訓をふまえて、棄却決定批判の市民的な声をできるかぎり広げることが重要である。先般あらたに結成された「狭山事件の再審を求める文化人の会」でも、インターネットなども活用し、より多くの市民に狭山の真相を広げていくことをめざしている。わたしたちも、各地で棄却批判と異議審勝利にむけた学習会や決起集会を開き、棄却決定の問題点を徹底して市民に暴こう!「狭山・住民の会」をさらに各地で作っていこう!事実調べもおこなわず、推測と勝手な解釈で有罪判決の矛盾・誤りをごまかした不当な再審棄却決定を徹底して批判し、東京高裁第五刑事部に再審開始を求める世論を大きくしていこう!


月刊狭山差別裁判題字

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