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<月刊「狭山差別裁判」367号/2004年7月>

「41年目の真実」を広げ、最高裁に公正・公平な裁判―
事実調べを求める署名運動を展開しよう

 狭山事件の再審を求める文化人の会は、代表の庭山英雄弁護士をはじめ、ルポライターの鎌田慧さん、作家の灰谷健次郎さんらで最高裁をおとずれ、学者・文化人の署名を提出し、事実調べ―再審開始を強く求めた。第2次再審請求において元鑑識課員である斎藤保・指紋鑑定士による鑑定などによって石川さんの無実が明らかにされているにもかかわらず、寺尾判決以来30年近く一度も事実調べがおこなわれていないからである。事件発生から41年以上が経過しながら、事実調べも証拠開示も十分におこなわれていないことはあまりに不公平であり、正義に反することを最高裁に強く申し入れたのである。
 狭山弁護団は、この特別抗告審で、斎藤第5鑑定、第5鑑定補遺を最高裁に提出し、鑑定人尋問など事実調べを求めている。
 いま焦点となっている第1の点は「抹消文字」「2条線痕」の存在である。これは犯人が犯行前に万年筆を使用していることを示す事実であるが、犯行前の万年筆使用痕跡は石川さんでは説明がつかない。41年前に「抹消文字」の存在を当時の埼玉県警の鑑識課員も現認していたという斎藤第5鑑定補遺の指摘も重要である。事件当時からこれが問題にされていたら万年筆と無縁だった石川さんがえん罪にまきこまれることはなかったかもしれないからだ。少なくとも「抹消文字」 の存在は斎藤鑑定人の「独断」や「推測」ではすまされない。斎藤さんの鑑定人尋問もおこなわず、この点について何も判断しなかった東京高裁の再審棄却決定も異議申立稟却決定も誤りであることは明らかだ。「抹消文字・2条線痕」は元鑑識課員という専門家が科学的に明らかにした「41年目の真実」 である。
 弁護団が、最高裁に公正・公平な判断をせまっているもうひとつの点は「非識字者である石川さんが脅迫状を書いたのではない」ということである。弁護団は、大阪での識字学級生による脅迫状書き取り実験をもとに、石川さんが非識字者であり、脅迫状を書いていないことを筆記能力の面から明らかにした意見書を昨年も提出した。石川さんが字が書けず、犯人ではないということは41年前に石川さんの父の富造さんや兄の六造さんら家族も訴えたことであり、ルポライターの鎌田慧さんが新刊書で強調していることでもある。弁護団は、当時の石川さんが部落差別の結果、文字を奪われていたこと、脅迫状を書いたことはありえないことをさまざまな角度から明らかにしてきた。石川さんが脅迫状を書いたのではないとする専門家の鑑定書、意見書は21通にものぼる。にもかかわらず一度も鑑定人尋問さえおこなわれていないことは不当であると弁護団は最高裁に今せまっているのである。この市民常識として理解される「41年目の真実」も広げなければならない。
 文化人の会では最高裁あての署名を広く全国ですすめることを呼びかけている。部落解放同盟中央本部では、この署名を10・31にむけて、100万人を目標にとりくむことを決定している。いま、鎌田慧さんの出版した「狭山事件、石川一雄、41年目の真実」がマスコミでもとりあげられ、ひろく読まれている。狭山事件について、あらたに関心がひろがっている。23デーのビラ配布や市民集会など各地における地道なとりくみが大きな世論に結びつく絶好のチャンスである。教宣活動とあわせて、全力で署名にとりくもう。


月刊狭山差別裁判題字

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