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<月刊「狭山差別裁判」375号/2005年3月>

最高裁の抜き打ち的な特別抗告棄却決定に抗議する!
さらに世論を大きくし、再審-無罪勝利まで闘おう!

 最高裁第1小法廷は、3月16日付で狭山事件の第2次再審請求の特別抗告申立を棄却する決定をおこなった。弁護団は、3月24日に最高裁に新証拠と補充書を提出し、調査官と面会することになっており、その約束を無視して直前に棄却決定を出すとはだれも思わないであろう。庭山弁護士、鎌田慧さんらは25日に全国から寄せられた30万人を超える署名を最高裁に提出し、公正な審理、事実調べを求める要請行動を予定していたが、これも最高裁は無視した。このような最高裁の不意打ち的な棄却決定の強行は、弁護団の主張も新証拠も見る気はないし、全国の市民の声にも耳を傾けるつもりはないという、きわめて権力的な姿勢だ。
 弁護団の再三にわたる事実調べ請求、事実調べを求める多数の署名にもかかわらず、最高裁は事実調べをまったく保障せず、申立を棄却した。第2次再審請求では、元警察鑑識課員の斎藤保・指紋鑑定士の5通の鑑定書をはじめ、多数の専門家による鑑定書、意見書が出されていたが、19年におよんだ審理で結局一度の事実調べもなされなかった。狭山事件の裁判では2審の確定判決以来30年以上も事実調べがおこなわれていない。あまりに不公平、不公正な裁判である。
 さらに、弁護団は、検察庁に証拠開示を請求、最高裁に対しても証拠開示命令・勧告を申し立てていたが、2~3メートルもの検察官手持ち証拠がありながら、まったく証拠開示されないまま棄却決定が出された。証拠開示を保障しないで弁護側の証拠をしりぞけた点でも不公平な決定である。
 最高裁棄却決定は、弁護側の新証拠を個別バラバラにして、不適法としてしりぞけ、いくつかの新証拠はまったく無視して いる。弁護団がくりかえし求めた新証拠とその他の証拠の総合評価も自白の全面的な再検討もなされていない。ひとつひとつの新証拠を「~とも考えられる」「可能性もある」などという一方的な決めつけ、推測でしりぞけている。こうした棄却決定の判断内容が、「疑わしきは被告人の利益に」という刑事裁判の鉄則にも、「無実の人を誤判・えん罪から救済する」という再審制度の理念にも反していることは明らかである。
 最高裁の棄却決定に対して、石川一雄さん本人、弁護団もただちに抗議の記者会見を開き、えん罪を晴らすべく、第3次再審を闘う決意を表明した。庭山弁護士、鎌田さんら市民の会も全力で支援することを明らかにしている。石川さんの決意と弁護団の取り組みにこたえ、狭山事件が部落差別が生んだえん罪であるという原点と「一人は万人のために 万人は一人のために」の合言葉を忘れず、さらに、大きな世論をつくりあげ、第3次再審闘争を進めていきたい。今秋にも東京高裁に第3次再審請求を申し立てる方向で弁護団は全力で準備を始めている。わたしたちは、まず徹底して最高裁・特別抗告棄却決定を批判し、狭山事件の真相、石川さんの無実、司法の不当性を暴いていくことが大事である。最高裁に対する抗議文や抗議ハガキの運動、棄却決定批判学習をおこない、署名運動で積み上げてきた幅広い支援層にまず棄却決定の不当性を知らせることが必要である。不当決定を強行した最高裁を頂点とする司法を変えていく闘いも視野に入れ、もう一度、原点にかえって狭山再審闘争を闘い抜こう!


月刊狭山差別裁判題字

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