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<月刊「狭山差別裁判」389号/2006年5月>

東京高裁は事実調べをおこない再審を開始せよ!
新100万人署名に全力でとりくもう!

 石川さんが不当逮捕され、えん罪におとしいれられて43年をむかえた5月23日、狭山事件の第3次再審請求が東京高裁に申し立てられた。この日、狭山弁護団は石川一雄さんとともに、再審請求書と新証拠を提出し、第3次再審請求の審理を担当するのは、東京高裁第4刑事部(仙波厚裁判長) と決まった。
 弁護団が東京高裁に提出した第3次再審請求書は、狭山事件の有罪確定判決(2審・東京高裁の無期懲役判決)があげた筆跡、万年筆などの有罪証拠の疑問、自白が真実ではないことを一つひとつ明らかにして、再審開始を求めている。
 新証拠として、筆跡鑑定、脅迫状の筆記用具に関する鑑定、万年筆捜索に関する元警察官報告書などが提出された。これらの新証拠は、石川さんの無実を立証し、確定判決とこれまでの再審の棄却決定の認定の誤りを明らかにしている。第3次再審請求のもっとも重大な課題は、これら新証拠について東京高裁が具体的な証拠調べ、事実調べをおこなうことである。
 狭山事件の再審請求ではこれまでにも多数の新証拠が提出されながら、鑑定人や重要な証人の尋問、現場検証は一度もおこなわれていない。じつに、寺尾判決以来31年以上にわたってまったく事実調べがおこなわれていない。
 第3次再審請求では、なんとしても東京高裁による鑑定人の尋問や鴨居の現場検証などの事実調べを実現しよう!
 第3次再審請求では、証拠開示を実現することも重要である。第2次再審請求で、「積み上げれば2~3メートル」という膨大な狭山事件の証拠が東京高検に眠っていることが明らかになった。しかし、弁護団がくりかえし検察官に証拠開示を求めたにもかかわらず、まったく開示されないまま、再審請求が棄却されている。そもそも真実究明と公正な裁判、正義の実現というためには検察官が証拠を隠すなどということは許されない。また、新証拠を必要とする再審請求ではとくに証拠開示は不可欠だと学者も指摘する。国連の自由権規約委員会も弁護側に証拠開示を保障するよう勧告している。
 第3次再審請求において、弁護団は証拠開示を求めて東京高検や東京高裁と交渉することにしており、わたしたちも、公正・公平な裁判と正義の実現を訴えて、証拠開示をおこなえという世論を大きくしていかなければならない。
 再審無罪が確定した免田事件や松山事件、徳島事件、梅田事件、あるいは昨年再審開始決定が出された名張事件や布川事件など、これまでの再審請求の裁判では鑑定人尋問などの事実調べや証拠開示がおこなわれていることを見れば、狭山事件のこれまでの再審請求の審理があまりにも不公平・不公正であることは明らかだ。
 弁護団は、今後、さらに新証拠や再審請求補充書を提出するとともに裁判官と面会し、事実調べ・再審開始を強く求めていくことにしている。わたしたちは、第3次再審の闘いで、全力で弁護団と石川さんの活動を支援するとともに、東京高裁第4刑事部が弁護団と十分協議し、事実調べ・証拠開示をおこなうよう求める大きな世論をつくっていかなければならない。
 狭山事件の再審を求める市民の会(代表・庭山英雄弁護士)が中心となって、東京高裁に公正裁判―事実調べ・再審開始を求める新100万人署名運動が始まった。学者・文化人・ジャーナリストなど各界の著名人が呼びかける署名である。一人でも多くの署名を集めるとともに、署名活動を通じて真相を訴え支援の輪を広げることが重要である。地域、職場、団体だけでなく、積極的に街頭での署名活動もおこない、狭山再審リボンバッジやイラストシンボルマークなども活用し、一人でも多くの市民に石川さんの無実と狭山事件の再審を訴えよう!


月刊狭山差別裁判題字

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