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<月刊「狭山差別裁判」405号/2007年9月>

国連からの再三の勧告にしたがい刑事司法の改革を!
えん罪防止にむけた司法民主化を求める声を大きくしよう!

 2008年10月、国連の自由権規約委員会は、日本政府報告書の審査をふまえた最終見解を発表した。自由権規約委員会は国際人権(自由権)規約にもとづいて、各国の人権状況を審査する委員会である。日本政府の第5回報告書の提出が遅れたため10年ぶりの審査となった。今回の最終見解で、自由権規約委員会は、日本政府にたいして、人権にかかわる多くの懸念事項を指摘し、勧告をおこなった。刑事司法の問題についても、代用監獄の廃止、証拠開示の保障、取調べの可視化、死刑制度の廃止などを強く勧告している。2007年5月には、国連の拷問禁止委員会も同様の勧告をおこなっている。法務省、検察庁、最高裁は、こうした国連の委員会による指摘、勧告を受けとめ、早急に制度・運用の改善・改革をはかるべきであろう。
  自由権規約委員会は、10年前の第4回報告書の審査にあたっても、すでに代用監獄の廃止や証拠開示の保障を勧告している。委員会はこのとき「第三回の報告書を検討した時(1983年)に出された勧告の大部分が受け入れられなかったことを遺憾に思う」と厳しく批判していたのである。著名な法学者の平野龍一・東京大学名誉教授は、被疑者・被告人の権利の保護に関する日本の制度・運用に対して委員会が疑問を述べた点を具体的にあげ、「これらの点にも改革のための努力が及ぶことが期待される。国連の勧告をいつまでも放置するわけにはいかない」と司法改革において国連勧告をふまえるべきだと指摘した。(「ジュリスト」1999年1148号)しかし、こうした法学者の指摘や公正な証拠開示のルール化を求める運動にもかかわらず、2004年の司法改革では、証拠開示の保障は十分には実現しなかったのである。検察官が相当と認めるときに証拠開示をおこなうとされ、証拠開示は検察官の義務とはなっていない。とくに再審請求においては、新証拠発見を必要とするにもかかわらず、狭山事件をはじめ検察官手持ち証拠の開示が十分に保障されていない。証拠リストも弁護側に開示されないので検察官手持ち証拠の内容さえわからないというのが現状である。
  今回の自由権規約委員会であらためて証拠開示の保障が勧告されたことは、再審請求における証拠開示もふくめて、いまだに弁護側が証拠開示を受ける権利が十分に保障されていないと判断されたからである。
  しかも、2008年5月から裁判員制度が始まろうとしている。刑事裁判の手続はこのままでいいのかという市民の懸念は大きくなっている。2007年には志布志事件、氷見事件をはじめえん罪の無罪判決があいつぎ、警察の取調べにおける人権侵害、証拠隠しといった、えん罪が作られる構造的な実態が明らかになった。氷見事件では、不十分な証拠調べ、証拠隠しによって裁判所が誤って有罪判決を出していたことを忘れてはならない。こうしたえん罪を引き起こしてほならないという意識、刑事裁判への関心も高くなっているいまこそ、国連の勧告を広くアピールし、刑事司法の民主化をすすめるときである。
  狭山事件では34年以上も事実調べがおこなわれていない。20年以上も弁護側の求める証拠開示がおこなわれていない。第3次再審請求において、弁護団は東京高裁に事実調べと証拠開示を求めている。狭山事件でも、代用監獄の長期の取調べ、弁護士との接見禁止など自白の強要がおこなわれた。今回の自由権規約委員会の審査にあたって、石川一雄さんは、国連を訪問し、こうした狭山事件の真相、えん罪の実態を訴えた。
  狭山第3次再審闘争と結びつけ、国連の勧告をふまえた司法民主化、刑事手続きの改善を求めよう。


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