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<月刊「狭山差別裁判」408号/2007年12月>

東京高裁・門野裁判長は100万人を超える署名を受けとめ
狭山事件の事実調べ・再審開始をおこなえ!

 第3次再審請求では、狭山事件の再審を求める市民の会の庭山英雄弁護士やルポライターの鎌田慧さんらを中心に、ジャーナリストの鳥越俊太郎さん、作家の赤川次郎さん、映画監督の新藤兼人さん、漫画家のやくみつるさんら各界の人たち36人が呼びかけ人となって、東京高裁に狭山事件の事実調べと再審開始、証拠の開示を求める署名運動が2006年8月にはじめられた。署名は全国にひろがり、半年後の2007年2月には90万人に達し、第3次再審請求から1年をむかえた5月23日には100万筆を突破し、東京高裁に提出された。東北、北海道だけで、65000筆もの署名が集まっていることからもわかるように、狭山事件の再審で事実調べ、証拠開示をおこない、真実究明と無事の救済のために再審を開始すべきだという市民の声、世論はこれまで以上に大きく広がっている。反差別国際運動や狭山事件の再審を求める市民集会実行委員会のホームページでも署名が呼びかけられ、全世界から署名が届いている。
  第3次再審の闘いでは、2007年に無罪をかちとった志布志事件の菟罪被害者や富山・氷見事件の冤罪被害者の柳原浩さん、あるいは袴田事件など同じ再審を闘う当事者、支援者ら、冤罪と闘う連帯もひろがってきていることも大きな力になっている。
  一方、狭山弁護団は第3次再審請求で、これまでに、石川さんが脅迫状を作成したのではないことを指摘するあらたな筆跡鑑定を3通(半沢第2鑑定、川向・加藤意見書、魚住鑑定)、殺害方法や逆さづりに関する法医学者の新鑑定2通(上山実験鑑定、赤根鑑定)、脅迫状・封筒の筆記用具が自白と食い違っていることを示す化学者の鑑定書(楢崎意見書)、犯行現場の自白が虚偽であることを示す音響工学者の鑑定書(安岡第2鑑定)、目撃証言、犯人の声の識別に関する心理学者の鑑定2通など9通もの新しい鑑定を裁判所に提出している。さらに、万年筆の発見経過の疑問を指摘した元刑事の報告書や筆記用具の疑問を指摘した元鑑識課員の報告書、ルミノール反応検査(血痕検査)の実験をおこなった元鑑識課員の報告書など犯罪捜査に従事していた専門家による新証拠も出されている。
  狭山弁護団は、第3次再審請求で、原点にかえって、寺尾判決の有罪証拠を徹底的に検討し、批判・反論の主張を展開し、さらに石川さんの無実を示す新証拠を積み重ね、東京高裁に事実調べをおこなうよう強くせまっていくとしている。
  狭山事件では確定判決となっている2審・東京高裁判決以来34年以上も事実調べがない。新証拠がこれだけ出されながら、30年以上の再審請求で一度の事実調べもおこなわれていないことこそ驚くべき不当な事態である。また、積み上げれば2~3メートルという多くの証拠を持ちながら検察庁は20年以上も弁護側が求める証拠の開示をまったくおこなっていない。
  東京高裁・門野裁判長はまず専門家鑑定人の尋問などの事実調べをおこなうべきである。検察官にたいして、弁護側の求める証拠の開示を命令すべきである。


月刊狭山差別裁判題字

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