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<月刊「狭山差別裁判」414号/2009年09月>

証拠開示をバネに事実調べ・再審へ
さらに世論を大きくしよう!

 2009年12月の東京高裁による開示勧告を受けて、2010年5月13日の三者協議で東京高検は、勧告を受けた8項目のうち5項目について、36点の証拠を開示した。開示された証拠は、殺害現場とされる雑木林に隣接する畑で、事件当日、農作業をおこなっていた0さんに関する捜査報告書、筆跡資料、取調べに関わる捜査報告書、取調べの録音テープである。
  裁判所による三者協議の開催、開示勧告というなかで、36点の証拠開示がおこなわれたことは再審実現にむけた大きな一歩である。
  しかし、一方で、裁判所が勧告した8項目のうち、雑木林の血痕検査報告書や雑木林を撮影した8ミリフィルム、末開示の死体写真は「不見当」(見当たらない) と回答している。
  殺害現場が自宅近くの雑木林であるという、石川さんの自白は6月23日に始まるが、警察による殺害現場の実況見分調書は7月4日付け、同月8日付けのものしか明らかにされていない。新聞報道では、「(6月)27日朝から自供にもとづいて殺害現場、死体発見現場を中心とした実地検証をおこなった」などと報じられており、警察が、事件の核心ともいうべき殺害現場について、これ以外に何ら裏付けをとらなかったとは考えられない。
  また、7月4日の実況見分調書には、自白で死体を一時隠したという芋穴について、ルミノール反応検査をおこなった(結果は陰性)と書かれている。被害者の死体の後頭部には傷があり出血があったと考えられたのであるから、現場の血痕を調べるのは当然であろう。第2現場ともいうべき芋穴について血痕検査をおこないながら、第1現場である殺害現場に関してルミノール反応検査報告書などの捜査書類がないことは考えられない。
  東京高検の回答には市民常識からしても疑問がある。
  殺害現場は自白の核心部分であり、今回の検察官の回答では、その裏づけがなかったということになる。
  弁護団は、犯行時間と重なる農作業中に 「悲鳴も人影もなかった」という0さんの証言を新証拠として提出しており、それに関連する捜査資料が今回、証拠開示された。
  自白の疑問はさらに深まっている。証拠開示と事実調べをとおして、殺害現場の裏づけ、自白の信用性について、徹底した究明が必要である。
  狭山弁護団は、今回開示された証拠を分析、検討し、新証拠を積み重ね、事実調べを求めていくとしている。東京高裁は証拠開示をふまえて事実調べをおこなうべきである。
  また、いまだに開示されていない証拠もまだたくさんある。今回の証拠開示をバネに、さらなる証拠開示と事実調べ・再審開始を求める声を大きくしよう。


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