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<月刊「狭山差別裁判」454号/2014年10月>

東京高検は裁判所の意向に従い証拠物のリストを問示せよ!
寺尾判決批判を強め狭山事件の再審を訴えよう!

 これまでの三者協議で、164点の証拠が開示されているが、まだ多くの証拠が検察庁に眠っている。とくに証拠物の一覧表の開示が焦点になっている。取調べテープや逮捕当日の上申書などの証拠物には検察官によって番号が付けられているが、弁護団がこれまで開示された証拠物を整理したところ番号が飛んでいることが判明し、これら未開示の証拠物を開示するよう求めた。いくつかの証拠物がその後も開示されたが、依然として40点以上の番号飛びの証拠物がどのような証拠物なのか不明だ。弁護団はまず証拠物の一覧表を開示するよう要求し、裁判所も証拠物はできるかぎり開示してほしいという立場を表明し、証拠物の一覧表も開示を促す姿勢を示しているが、検察官はいまだ開示していない。検察官は東京高裁の意向に従い、すみやかに証拠物のリストを弁護側に提示すべきだ。
  また、弁護団は、手拭いについての初期の捜査資料や取調べ、自白に関わる捜査資料などの証拠開示を求めているが、検察官は 「不見当」(見当たらない)あるいは必要性がないなどとして開示されていない。再審請求との関連性や必要性を検察官が判断するという発想じたいが問題だ。捜査によって集められた証拠は検察官の独占物ではないはずだ。しかも、弁護側には検察官の手元にどのような証拠があるのかさえわからない。あまりに日本の証拠開示制度は遅れている。
  国連は弁護側が検察官手持ち証拠へアクセスできるよう保障することを勧告している。布川事件や東電社員殺害事件、袴田事件などで、証拠開示が再審開始のカギとなった。誤判から無実の人を救済する再審制度において証拠開示は不可欠であり、公正・公平な再審の手続きと証拠開示の法制化の実現にむけて世論を大きくしていく必要がある。
  第21回三者協議は2015年1月下旬におこなわれるが、証拠開示の攻防は続いている。証拠物の一覧表をはじめ弁護団の求める証拠開示に検察官が応じるよう求めていこう。
  弁護団は証拠開示をさらにすすめ、寺尾判決があげた有罪証拠、警察の鑑定が誤っていることを科学的に明らかにする新証拠を積み上げて再審開始を実現する努力を続けている。第3次再審請求では、証拠開示によって新たな無実の証拠が発見された。逮捕当日の石川さんの上申書によって筆跡の違いは一目瞭然だ。手拭いの捜査報告書の開示によって、犯行に使われた手拭いが石川さんの家のものではないことが明白になった。取調べテープと心理学鑑定は自白の虚偽を明らかにした。弁護団はこれまで139点の新証拠を東京高裁に提出している。これら新証拠によって寺尾判決は完全に崩壊している。狭山事件では寺尾判決以来40年間、一度も事実調べ(鑑定人の証人尋問など)がおこなわれていない。あまりに不公平・不公正だ。東京高裁が弁護団が提出した新証拠について事実調べをおこない再審を開始し、再審で石川さんの無罪が確定する日が一日も早く実現するよういまこそ闘いを強化し、狭山事件の再審開始を求める世論をさらにひろげよう!


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