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主張&声明

新証拠の事実調べ、再審開始をかちとろう!
徹底した証拠開示を実現しよう!

(月刊「狭山差別裁判」457号/2015年1月)

 証拠物の一覧表が弁護団に開示された。正確には、東京高検にあるすべての証拠物(書証などを含まない)の領置票の写しが弁護団に交付されたということだ。領置票は、高検が領置した(受け入れた)証拠物の名称、数量、受け入れた日が書かれた一覧表である。

 弁護団は、裁判所の勧告で2010年に開示された上申書や取調べ録音テープなどの証拠物に検察官が番号を付けていることに着目してこれまで開示されている証拠物を整理したところ、番号飛びがあることが判明した。開示されていない証拠物があることは明らかだった。弁護団は番号飛びの証拠物が何なのかを明らかにし、開示すべきだと主張し、昨年5月13日に証拠物の一覧表の交付勧告申立書を提出した。

 足跡にしても上申書にしても、証拠物はほかに代替することができない、それ一つしかないものだ。しかもプライバシーの侵害が生じることも考えられない。そもそも証拠物は開示するのが原則である。東京高裁も、証拠物や客観証拠はできるかぎり開示するべきという立場から開示を促してきた。検察官は、開示すべきでないとくりかえしたが、弁護団は反論し、東京高裁の河合裁判長は再検討を促し、ことし1月にようやく一覧表が開示されたのである。

 弁護団が理を尽くして一覧表開示を訴え、裁判所も同じ方向で開示を促したことの結果である。同時に、石川一雄さん、早智子さんによる裁判所前での100回を超えるアピール行動、それを支援する多くの市民の声が届いた成果であるともいえる。

 証拠物一覧表の開示は具体的にも大きな意味をもつ。領置票によって、現在、東京高検にある279点すべての証拠物のタイトルはわかった。しかし、タイトルだけではその中身はわからない。一覧表のうち、これまでに開示あるいは裁判所に証拠として提出されたものを除くと、東京高検にある未開示の証拠物は44点である。弁護団は、このうち石川さんの家から押収された証拠物については検察庁に還付請求し、返還を求めるとともに、航空写真ネガや筆跡資料になると思われるものなどについては証拠開示を求める。一覧表で存在が明らかになった証拠物そのものの開示がつぎの課題だ。

 さらに、今回開示されたのは東京高検保管の証拠物の領置票である。領置票の受け入れ日によれば、証拠物は一度に東京高検に領置されたのではなく、徐々に受け入れている。それまで証拠物が保管されていた浦和地検(現さいた地検)や埼玉県警などの警察で作成された一覧表もあるはずだ。犯行現場とされた雑木林を撮影した8ミリフィルムのように東京高裁が開示勧告したが、検察官が「不見当」と回答しただけになっているものもある。警察官の実況見分調書に「8ミリで撮影」と書かれ、重要な殺害現場を自白後の実況見分で撮影した8ミリフィルムが保管されていなかったとは考えにくい。こうした証拠物の存否を公正に判断するためにも、浦和地検や埼玉県警などの証拠物一覧表を開示するよう弁護団は求めている。証拠物一覧表の開示をバネにさらに徹底した証拠開示を強く求めたい。東京高検以外の証拠物一覧表の開示を強く求めよう!


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