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主張&声明

東京高裁はインク資料の鑑定を実施すべきだ!
東京高裁に事実調べを求める署名をさらに広げよう!

(月刊「狭山差別裁判」536号/2023年1月)

 狭山弁護団は、2022年8月に、東京高裁第4刑事部(大野勝則裁判長)に事実取調請求書を提出し、新証拠を作成した専門家11人の証人尋問と万年筆インク資料の鑑定を裁判所が実施することを求めた。具体的には、筆跡、指紋、足跡、スコップ、血液型、目撃証言、音声証言、万年筆インク、万年筆発見経過、殺害方法、自白にかかわって新証拠を作成した11人の鑑定人について、証人尋問をおこない、全証拠を総合的に評価して再審を開始するよう求めている。

 先日、再審開始決定が東京高裁で出された袴田事件や再審開始・無罪判決が出された足利事件、布川事件などで、新証拠に関わる科学者や法医学者ら鑑定人の尋問がおこなわれている。袴田事件では、重要な裁判の争点である「5点の衣類」の血痕の色の問題について、昨年、弁護側の鑑定人3人(化学者や法医学者)の証人尋問が東京高裁でおこなわれ、弁護団の主張を認めて再審開始決定が出されている。狭山事件においても、筆跡や万年筆など有罪判決の重要な争点について、有罪証拠の誤りを明らかにした鑑定人であり、その分野の専門家なのだから、証人尋問によって新証拠の意義を確認して裁判所は判断すべきであろう。

 また、弁護団は、重要な争点である万年筆について、インク資料の裁判所による鑑定の実施を求めている。インク資料というのは、2016年に証拠開示された「発見万年筆で書いた『数字』」のインクと、上告審で証拠開示された「被害者が事件当日の授業で書いたペン習字浄書」の文字のインク、2013年に証拠開示された「被害者のインク瓶」のインクである。

 弁護団は、専門家に依頼し、蛍光X線分析によってインクの元素を調べ、ペン習字浄書のインクや被害者が使っていたインク瓶のインクには、当時販売されていたパイロットのジェットブルーインクの特徴であるクロムという金属元素が含まれているが、石川さんの家から発見され有罪の証拠とされた万年筆で当時書かれた「数字」のインクからは、クロム元素が検出されないことが明らかになった。この鑑定結果は、発見万年筆には被害者が使っていたインクが入っていなかったことを示している。発見万年筆は被害者のものとは言えないことが明らかになったのであり、弁護団は、「自白した通り被害者の万年筆が発見された」という有罪判決の認定に合理的疑いが生じたとして、万年筆発見経過の不合理性や、自白のおかしさなど他の新証拠と総合的に評価して再審を開始するよう求めているのである。

 これらインク資料はすべて検察官の手元にあるものだ。ところが、検察官は、弁護団のインク鑑定にたいして、みずからはクロム元素があるかないか検査できるはずなのに、それもせず科学的に反論をすることなく、鑑定結果に関係のない枝葉末節の批判しかしていない。あげくには、被害者が万年筆を十分に水で洗って別のインクを補充すれば、クロム元素が検出されないことが説明できると主張するにいたっている。被害者が事件当日、ペン習字の授業後、万年筆を水洗いしたなどということは目撃した人がいるわけでもなく何の根拠もないことである。まさに検察官の悪意に満ちた憶測以外の何者でもない。

 弁護団は、インク資料について、第3者の専門家による蛍光X線分析を裁判所が職権でおこなうよう求めている。弁護団が提出したインク鑑定の正しさが別の鑑定によって確認され、発見万年筆が被害者のものとはいえないことが明確になる。東京高裁はインク資料の鑑定を実施すべきだ。


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