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部落問題資料室
コラム
今週の1冊 第2224号/05.06.27

定刻発車
日本の鉄道はなぜ世界でもっとも正確なのか?

三戸 祐子 著  新潮文庫(定価590円)

書籍画像 日本の鉄道はなぜ世界でもっとも正確なのか?その秘密を歴史的起源、しくみ、今後のあり方を含めて書かれたのが、この大著。定刻発車のために、大きな力がさかれていることがわかる。
 資本制生産が成立するためには、自己規律をもった労働者の登場が不可欠だった。それと同じように、定刻発車には、分、秒という時間感覚と旅行のあり方のトレーニングが必要だった。
 黒船で開国を迫ったペリーを驚かせたのが城や寺院からの鐘の音。警鐘かとペリーは思ったが、正確に時を知らせるシステムがすでに江戸時代にあった。参勤交代は時間どおり事を実行する巨大移動プロジェクトだった。交通のメリットを江戸時代から人びとは知っていた。これらがすそ野となって、1910年代頃から正確連行がはじまったのだ。
 乗降時間の調査、上野駅の新幹線にみられるホームの有効活用、情報収集などさまざまな努力が紹介される。しかし、利潤優先システムが何を生み出すのか。その視点もほしかった。 (A)

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