部落問題資料室
NEWS & 主張
「人権侵害救済条例」を制定
全国で初めて鳥取県で
「解放新聞」(2005.10.24-2241)

 「鳥取県人権侵害救済推進及び手続に関する条例」が10月12日、鳥取県議会本会議で可決、制定された。この条例は、人権侵害により発生する、あるいはおそれのある被害を迅速に救済・予防することを目的とし、その目的のために委員5人からなる「人権侵害救済推進委員会」を設置し、人権が尊重される社会の実現に寄与しようとするもの。設置される「人権侵害救済推進委員会」(以下「委員会」)は、私たちが求めてきた都道府県単位の「人権委員会」にあたるもの。当事者間の話しあいを基礎とし、問題解決にとりくむもので全国初。来年6月1日から施行される。

当事者間の話し合いもとに

 本会議が始まったのは30分遅れの10時30分。冒頭、議員が知事の考えを質問、片山善博・県知事が見解を表明した。知事は、「人権侵害に悩む人がいる」ことから「条例」が必要との立場を表明し、国レベルでの「人権擁護法案」の動きにもふれながら、法務省の一元管理がいいとは思わない。多元的なしくみが必要との考え方を示したうえで運用は執行部がおこない、チェックは議会がおこなう。指摘されている懸念については、それが具現化しないよう注意し、副作用がおこらないよう運用し誠実に執行する決意を表明した。
 休憩の後、11時20分に再開、条例案を総務警察常任委員会委員長から報告。委員会運営は独立性の確保につとめること、事務局職員は中立公正が保たれるようつとめること、氏名の公表にさいしては慎重を期することをつけ加えた。
 杉根修・県議(部落解放同盟県連顧問)が賛成討論に立ち、条例制定は民主主義の底上げであり、グローパル化のもとでの競争原理で生みだされやすい差別と人権侵害の実態を打開し、人権感覚を育てる役割を担うものであることを明らかにした。
 全国初の条例制定の瞬間は12時12分。中田幸夫・県連委員長はじめ部落解放同盟員、県共闘、市民の見守るなか、起立表決で2人反対1人棄権、賛成34人の賛成多数で可決され、成立した。
 本会議の前日、11日には総務警察常任委員会がひらかれ、「条例案」を審議。山田幸夫・県議(県連書記長)が賛成意見を表明、みずからの部落解放連動での事実確認などの経験もおりまぜながら、本条例は基本的に話しあい解決をめざす教育・啓発的色彩の強いものであり、人権侵害の抑止と人権意識の高揚をめざし、差別と人権侵害のない社会実現をはかるものであることを訴えた。

鳥取県人権侵害救済推進及び
手続に関する条例の概要

 10月12日に制定された「条例」は35人の議員が10月5日に提出。総則、委員会、救済手続、適用上の配慮と附則で構成され、総則で「人権侵害」を規定、行政機関による違反行為も対象とされ、救済の申立ては、被害者本人だけでなく、本人以外の者が事実を知ったとき、「委員会」に通報できることとしている。
 「人権侵害」の規定では、虐待、人種等(人種、民族、信条、性別、社会的身分、門地、障害、疾病、性的指向をあげている。
 禁止行為として、人種等を理由として行う不当な差別的取扱い又は差別的言動、報酬を得て、特定の者が有する人種等の属性に関する情報で権利利益を不当に侵害するおそれがあるものを収集する行為、差別的取り扱いを助長・誘発する目的で当該属性を有することを容易に識別することを可能とする情報を公然と摘示する行為、当該属性を理由として不当な差別的取扱いをする意思を公然と表示する行為などを示している。
 「委員会」の委員は、議会の同意を得て知事が任命する。「委員会」は、被害者などに、助言、紹介、援助をおこない、加害者などに説示、啓発、指導をおこない、被害者と加害者の関係の調整を図るなどの救済措置をおこなう。そのさい、当事者の自主的な解決に向けたとりくみが促進されるよう十分配慮することも定められた。
 こうしたとりくみでも人権侵害が救済されない場合、勧告、勧奨をおこない、正当な理由がなく勧告に従わないときは、弁明の機会を与えたうえで公表することができるとしている。
 適用上の配慮として、救済の対象となる者の人権と他の者の人権との関係に十分配慮し、報道や取材の自由、表現の自由を最大限に尊重し、これを妨げてはならないことを明記、個人情報の保護について配慮することも示した。
 また、この条例は、延長その他の所要の措置が講じられないときは2010年3月31日に効力を失うこととし、運用後に不備が生じた場合の改正などを担保している。

これまでの経過
02年6月  知事、県議会一般質問で地方レベルの人権救済制度の必要性につき表明
03年6月  人権救済制度導入検討経費計上
03年11月〜 検討委員会で制度のあり方、条例案の検討を開始
04年8月  常任委員会報告及び県民意見募集
04年12月  「鳥取県人権救済手続条例」を知事提案
05年2月  ひきつづき継続審査
05年10月  6会派35人が「鳥取県人権侵害救済推進及び手続に関する条例案」発議


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