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部落問題資料室
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主張

 

第53回全国女性集会の成功へ
向け各地でとりくみを強化しよう
「解放新聞」(2008.04.14-2365)

 部落解放運動は戦争と差別に反対し、いのちと生活を守るためにとりくみをすすめてきた。
  戦争は、尊いいのちを犠牲にし、一瞬にしてその人の生きる権利を奪う。とくに犠牲になるのは、女性や子どもたちだ。また、最近では、人を殺してみたかったと無差別に人を刺したり、襲ったりという凶悪な事件が大きく報道されている。一つしかないいのちを、人生を大切にしなければならない。
  今年、5月17、18日の2日間、三重県津市で部落解放第53回全国女性集会(三重全女)を1500人規模で開催する。三重県連は、女性部を中心に全女実行委員会を結成し、集会成功に向けたとりくみをすすめている。戦争と差別に反対し、男女平等社会実現に向けて、全国の女性部の力で第53回全国女性集会を成功させよう。
  第50回全国女性集会(鳥取全女)でおこなった被差別部落女性のアンケート調査をきっかけに、各都府県連で創意工夫されたアンケート調査がすすめられている。こうしたアンケート調査結果を活用し、国や自治体に被差別部落女性をはじめマイノリティ女性にたいする施策を推進し、具体化していくための体制づくりをすすめさせていく必要がある。

 今日、部落解放運動は、かつてないきびしい状況にある。昨年12月に提示された「提言」を実勢に受けとめ、今こそ、「水平社宣言」の精神と人間解放をめざした運動の原点に立ち返り、組織と運動の社会的信頼を回復するためにも女性の力を結集しなければならない。
  また、第65回全国大会で提案された「男女平等社会実現基本方針(改訂版)」の組織内目標を中央本部・都府県連・支部で具体的にすすめなければならない。
  いま、日本の人口は年年減少している。これは晩婚化と少子化の傾向が強まってきたからだといわれている。内閣府は「試算額が多いか少ないかは判断がわかれるだろうが、少子化対策の議論には経済的負担の問題が欠かせない」とし、子どもをもちやすいよう経済的負担の軽減をはかる必要があるとしているが、他の先進国に比べると、国をあげての十分な支援がされていない現状がある。
  他の先進国では、女性の労働力を上昇させながら出生率も回復している先例がある。その背景には、男性も含めた働き方の見直し、保育所の整備、性別役割分担意識の解消、男性の家事・育児参加、雇用機会の均等などがすすんでおり、男女の意識変革や多様な働き方が選択できるという充実した制度がある。日本は、まだまだ古い慣習やしきたりにしばられており、性別役割分業の意識も根強く残っている。男性は結婚していても長時間労働やサービス残業など仕事中心の生活を強いられ、女性も結婚して共働きとなっても仕事と同時に家事・育児・介護などの責任の大部分を担っている。日本社会が性別役割分業意識にとらわれずに、ともに助け合い、協力し合う社会になれば仕事も家庭生活も大切にする生活が当たり前になるのではないか。
  一方で配偶者などからの暴力(DV)の被害届けが、昨年1年間で2万件をこえていることが警察庁の発表でわかった。DV法は、1月11日、被害者の自立支援を国や地方公共団体の責務として明確化し、都道府県に基本計画の策定を義務づけるなど再改正されたばかりだが、1月16日、つくばみらい市でのDVに関する講演会は、DV法に反対する人たちが市に抗議し中止になった。このように女性の人権確立を求める運動へのバッシングがDV法にまでおよんできた。
  私たちは、なんとしても格差のない社会、相手を思いやれる社会、性別にとらわれることなく、男女がともに個性と能力を十分に発揮できる社会の実現に向けてとりくみをすすめよう。

 第53回全国女性集会では、部落解放・人権政策確立のための闘い、狭山再審闘争や差別糾弾闘争の強化、男女平等社会の実現、自立自闘に向けた闘いと人材育成をはじめとした女性部組織の拡大など、地域でのとりくみの実践交流と論議を深め、活発な意見を出し合おう。
  第53回全国女性集会の成功をかちとり、女性が部落解放運動を前進させる原動力となって、あらゆる差別をなくすために闘いをすすめよう。今こそ、部落解放運動の再生――改革に向けて、女性が先頭になって闘いを展開しよう。

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