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部落問題資料室
NEWS & 主張
主張

 

経済危機と格差社会の原因を明確にし
労働・生活の共同闘争にとりくもう
「解放新聞」(2009.03.30-2412)

 米国発の金融危機が世界に波及し、実体経済に深刻な打撃をあたえ、日本でも失業者が激増している。格差社会の拡大、貧富の二極化とワーキング・プアの増大が社会問題となり、その是正が政治問題化しているところに、今回の経済危機が襲いかかった。そして、これまで低賃金・無権利の非正規労働者を使いながら莫大な利益をあげ、内部留保を溜め込んできた大企業が、こうした労働者を大量に切り捨て、寮などから追い出したことが大きくとりあげられ、その実態をいっそう浮き彫りにした。
  今回の経済危機と格差社会拡大の根はひとつ。米国流の新自由主義・市場原理主義にもとづく政策が、その根であり、日本もそれに追随したことである。
  新自由主義政策によって、米国で真っ先に二極化社会がすすみ、家や自動車を買えない貧困層が増大し、そのことで国内需要も減るはずだった。しかし、家や自動車を買う力のない人たちに無理やり借金(サブプライムローン)をさせ、「ローンの金利が上がっても購入した家などが値上がりするから、それを担保に借金は返済できる」といって買わせることで、像の大きな君要を作り乱し、像の繁栄(バブル)を維持してきた。そして、その債権は証券化され、ほかのさまざまな証券と混ぜて各国の金融機関などに大量に売られた。そのバブルがはじけ、矛盾がいっきに表面化するなどして、金融危機におちいったのである。
  今回の事態は、弱肉強食の市場原理主義が経済を歪め破綻させることを明らかにした。日本でも格差社会の是正と内需拡大への政策転換が求められている。

 いま労働組合は春季生活闘争をたたかっている。この10年で労働分配率は7%下がり、一方で役員報酬や株主配当は倍近く増えている。じつは、この10年間は、労働法制が改悪され、派遣など低賃金で無権利の非正規労働者が激増し、3人に1人は非正規という状態がつくられてきた時期と重なる。非正規労働者の賃金・労働条件を大幅に引き上げ、正規労働者化を望む非正規労働者を正規労働者にすること。そのための法改正を急がなければならない。
  一方、これまで新自由主義をすすめてきた人びとは、正規労働者と非正規労働者を分断・対立させようとキャンペーンをはじめた。それは、たとえば正規労働者や公務員は過大に優遇されているとか、労働組合は正規労働者の利害だけ守ろうとしている、などというかたちで、ねたみ意識を煽り、分断・対立させようとしている。こうしたやり方は、部落へのねたみ意識を煽り、行政施策を打ち切ろうとする昨今の行政のあり方と軌を一にするものだ。
  大量の非正規労働者とワーキング・プアを生み出してきたのは、労働者ではなく経営者である。また派遣法など労働法制を改悪してきた政治家であることを明確にしておかなければならない。
  経済危機が深刻化するなか、部落のなかで零細企業者の倒産や、失業、半失業や非正規など不安定な働き方の労働者が増えている。連合などとも連携し、早急に労働法制の是正を実現しなければならない。

 部落解放中央共闘会議は2月27日に総会を開催し、新たな活動方針を決めた。いま、労働組合と部落解放同盟が雇用と生活の危機的状況のなかで共闘して闘う意義は大きい。
  連合は昨年、就職差別撤廃に向け傘下の組合にアンケート調査を実施した。中央共闘は連合とともに、募集・採用にさいしてあらゆる差別を許さないとりくみを強化する方針だ。
  経済危機のなかでセーフティネットの充実も急務である。中央共闘では、奨学金制度や就学援助制度の充実も方針としており、具体的課題で共闘を拡大、前進させていく必要がある。
  同時に、来るべき総選挙で政治の流れを変え、新自由主義政策からの大転換をはかり、格差社会の根本的是正をはからなければならない。


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