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部落問題資料室
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「人権侵害救済法」早期制定へ全力をあげて闘いをすすめよう

「解放新聞」(2011.11.14-2543)

 第179臨時国会が10月20日、51日間の日程で開会された。臨時国会では、東日本大震災の復興支援策を中心にした第3次補正予算の審議がはじまる。また、生活保護受給が、過去最多の205万人をこえるなど、好転しない雇用情勢や最悪の事態となった福島原発事故の対応、エネルギー政策の転換も重要な課題だ。
  部落解放・人権政策確立要求中央実行委員会も、この臨時国会で、「人権侵害救済法」の早期制定を実現するために全力をあげてとりくみをすすめることを確認した。具体的には、11月16~18日に各都府県実行委員会による国会集中要請行動、30日の第1次中央集会をおこない、「人権侵害救済法」制定に向けた政治情勢をしっかりとつくりあげていこう。
  これまでも地元選出国会議員への要請行動は、各都府県実行委員会でとりくまれてきたが、国会開会中の集中行動で、「人権侵害救済法」制定をはじめとした、部落解放・人権政策確立のための全国的なとりくみを強化してもらいたい。

 民主党は人権政策の確立に向けて、本年3月に「人権侵害救済機関検討プロジェクトチーム」(PT)を設置し、6月には、「人権侵害救済法中間とりまとめ」を策定、江田五月・法務大臣(当時)に申し入れた。
  この民主党PT「中間とりまとめ」を受けて、8月2日に、法務省政務三役名で公表されたのが「新たな人権救済機関の設置について」(基本方針)である。基本方針は、「中間とりまとめ」とほぼ同じ内容で、人権委員会は法務省の外局に、「3条委員会」.として設置し、政府からの独立性を確保するとしている。現在、「3条委員会」として設置されているのは、国家公安委員会や公正取引委員会などがある。
  地方組織は、「全国所要の地に事務局職員を配置し、同委員会の任務を実現するための諸活動を行わせる」として、法務局や地方法務局を活用することとしている。また、メディア規制の問題は、報道機関に自主的とりくみを要請し、削除している。さらに、法律の条項として「制度発足後5年の実績をふまえて、必要な見直しをすることとする」と明記することにしている。
  差別事件、人権侵害は、われわれの日常の生活のなかで生起する。そのためにも、人権委員会の独立性、委員会の構成はもちろんのこと、「人権委員会のあるべき姿」をしっかりと論議し、実効性、迅速性、簡易性のある救済制度を確立していくことが重要だ。
  今後、法案作成に向けての作業がすすめられるが、われわれは、「民主党政権のもとで法案を実現する」という基本的なとりくみ方向のもとで、「人権侵害救済法」早期制定に全力をあげて闘いをすすめていくことが求められている。

 人権擁護推進審議会が、「人権救済制度の在り方について」を答申し、人権侵害救済制度の確立の必要性を指摘したのは、01年である。それから10年が経過している。この間、02年に「人権擁護法案」が国会に提出されたものの、「法案」には、多くの問題点があり、われわれは「法案」の抜本修正を求めてきた。「法案」は、継続審議を続けたが、与野党協議もすすまず、衆議院の解散により廃案になった。
  今回、「基本方針」が公表され、これまでと同様、国会内外の反対派が動きを活発化させている。民主党内にも残念ながらそうした動きがあるなかで、困難な情況はあるものの、「人権侵害救済法」が実現可能な段階にあることを再確認し、「超党派的合意にもとづく法制・定」を基本姿勢にとりくみをすすめよう。
  われわれは、「部落解放基本法」制定の闘いいらい、人権侵害救済制度の確立に向けてとりくんできた。多くの差別事件、人権侵害事件が起こりながらも、救済制度がまったくない、差別を放置している政治の無責任さを問うものであった。確信犯的な差別扇動など、差別の実態を放置している立法不作為の状龍巻ただちに解消していかなければならない。
  さらに、救済制度とともに、責任ある行政機構の確立も重要な課題である。部落問題の解決をはじめ、日本の人権政策をすすめる人権省(庁)、人権居などの体制の整備、確立もすすめていかなければならない。
  こうしたとりくみをとおして、差別が社会悪であることを広く社会的共通の認識として定着させていくことが重要だ。「人権侵害救済法」の早期制定に向けて、今臨時国会で全力をあげてとりくみをすすめよう。


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